⟪エベレスト入山料 大幅値上げの訳⟫
世界最高峰エベレストの入山料が2025年シーズンより最大300%値上げされることが決定。ネパール政府は「環境保全のため」と説明するが、内部告発者によると、その裏には「登山ビジネスの崩壊」と「中国の影」が潜んでいるという──。

※イメージ写真:近年のエベレスト混雑状況(出典:AFP)
■「1人あたり150万円」時代の到来
従来の入山許可料(11,000ドル)に加え、新たに導入される「環境復元税」「酸素ボンベ廃棄処理費」「救助保険料」により、総費用は最低450万円に達する見込み。ネパール観光省のタマン局長は「気候変動による氷河後退が救難コストを増大させている」と説明するが、国際登山連盟(UIAA)のデータでは、実際の環境対策費は徴収額の17%未満だという。
「これはもはや登山ではなく、富裕層向けの破壊的テーマパークだ」
─ 元エベレストガイド、アンジ・シェルパ(匿名希望)
■ 中国企業が暗躍する「入札制」の衝撃
更なる問題は、2024年から導入された「ガイド会社入札制度」だ。最高額を提示した中国系企業「Himalaya Summit Group」が独占契約を獲得し、従来の地元シェルパ企業は契約更新率23%にまで激減。カトマンズ在住の経済ジャーナリスト、ラジェシュ・カールはこう指摘する。
「中国企業はネパール政府に『インフラ投資』を餌に利権を掌握した。今後5年でエベレスト周辺のホテル・輸送網全てが中国資本下に入る可能性があります」
年度 | 基本料金(USD) | 追加費用 | 中国人登山者比率 |
---|---|---|---|
2020 | 11,000 | – | 12% |
2023 | 15,000 | 環境税2,000 | 34% |
2025(予定) | 25,000 | 新規費用18,500 | 推定58% |
■ 専門家が警告する「3年後の封山」リスク
チューリッヒ工科大学の山岳環境研究所が2024年に発表した衝撃的なシミュレーションによれば、現在の登山ペースが続けば、2028年までに主要ルートの70%が雪崩危険区域に変化するという。
「氷河融解で露出した岩肌が太陽熱を吸収し、周囲の雪を不安定化させている」と同研究所のマルクス・ヴェーバー教授は解説。「入山料値上げは『最後の収穫』を目的とした短期的な政策だ」と批判する。
■ 消える「シェルパ文化」
最大の被害者は地元シェルパコミュニティだ。伝統的なガイド技術より「中国企業の安全基準」が優先されるようになり、若者の80%が観光業からの離脱を検討中という(カトマンズ大学調査)。
「祖父の時代から続く登山道の知恵が、書類上の『安全対策』で否定される」と語るのは、三代続くガイド家系のテンジン・シェルパ(42)。中国企業が導入した酸素濃度管理システムにより、シェルパが積雪状況を判断する伝統的手法が「非科学的」として禁止された事例を明かした。
■ 暗黒のシナリオ:軍事利用の噂
複数の国際関係筋が、中国の「一帯一路」戦略との関連を指摘する。2023年、ネパール政府が中国と締結した「山岳監視システム整備協定」には、登山者全員の生体データ収集が盛り込まれていた。
「標高8,000m級の気象データは軍事価値が極めて高い」と元国防省分析官のデイビッド・ランカスター氏。「将来的に中国が『安全理由』でエベレスト入域を制限する日が来るかもしれない」と警告する。
※本記事の内容は関係各所に確認を取っておりますが、一部匿名を条件とした証言を含みます。
エベレストは誰のものか──観光か、保全か、それとも…
入山料値上げは単なる経済問題ではない。気候変動、地政学、文化消滅という三重苦に直面する人類共通の課題が、世界の屋根に影を落としている。
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