トランプ関税 米国民の暮らし圧迫

トランプ関税米国民の暮らし圧迫～食卓から車まで、価格高騰の悪夢が現実に

【ワシントンD.C.＝特約記者】元大統領ドナルド・トランプ氏が再選を目指す中、彼がかつて導入した関税政策の影響が再び米国民の生活を直撃している。専門家らは「最悪のシナリオが現実化しつつある」と警告し、庶民の生活は急速に悪化の一途をたどっている。

スーパーの棚から消える日常品

オハイオ州クリーブランドのスーパーマーケットでは、昨年比で平均30％の価格上昇が発生。特に中国製日用品の値段が暴騰し、低所得者層から悲鳴が上がっている。

「洗剤1本が20ドルもするなんて…これでは生活できない」
— シングルマザーのジェシカ・モーガンさん（42）

経済アナリストのマイケル・ハリス氏（モルガン・スタンレー元副社長）は暗澹たる見通しを示す。

「トランプ関税の第2波が来れば、基本的な生活必需品の価格はさらに50％上昇する可能性がある。これはもはやインフレではなく、生活破壊だ」

自動車業界では部品調達難から生産ラインの停止が相次ぎ、中古車価格が新車を上回る異常事態が続出。ミシガン州デトロイトの自動車工場では、今月だけで3,000人の一時解雇が発表された。

衝撃の数字：

元財務省高官のリチャード・ゴールドマン氏は、関税政策の影響が今後10年にわたって続くと予測する。

「我々が目にしているのは氷山の一角だ。製造業の海外移転が加速し、2025年末までにさらに150万人の雇用が失われる可能性がある」

特に懸念されているのは医薬品分野だ。アメリカのジェネリック医薬品の80％は輸入に依存しており、関税引き上げで治療費が急騰。慢性疾患患者の中には薬を断念するケースも出始めている。

社会学者のエミリー・チェン博士は、生活困窮による犯罪率の上昇を警告する。

「すでに大都市では生活必需品の万引きが前年比300％増。これが組織犯罪に発展するのは時間の問題だ。最悪の場合、食料暴動さえ想定しなければならない」

トランプ陣営は「短期的な痛みはあるが、長期的にはアメリカを強くする」と主張するが、一般市民の忍耐は限界に近づいている。スーパーで高価格タグを見てため息をつく主婦、車のローンが払えなくなる恐怖に怯える労働者―。アメリカン・ドリームは関税という名の悪夢に蝕まれつつある。

専門家の間では「この政策が続けば、米国は先進国から転落する」との極端な見方さえ囁かれ始めた。2024年大選挙を控え、国民の生活は政治の駆け引きの道具にされようとしている。