⟪ベランダにハトの卵 処理に10日間⟫
【都市部で急増】「駆除業者が来るまで待った」が招いた“悪夢の10日間”
東京都内のマンションに住むAさん(仮名・32歳)は、ある朝ベランダに置かれた植木鉢の陰でハトの卵を発見した。最初は「そのうちいなくなるだろう」と軽く考えていたが、この判断が後に「健康被害」と「法的トラブル」を引き起こすことになる――。
専門家警告:「ハトの卵を放置すると『ヒナが孵る前』が駆除のラストチャンス。孵化後の駆除は法律違反の可能性が…」
■Day1-3:無知が招いた「巣作り加速」
Aさんが最初に気づいたのは4月10日朝。ベランダの隅に2つの白い卵と、わずかながら巣らしきものが形成され始めていた。「動物が可哀想だし、卵もすぐに親鳥が持って行くだろう」と考えたAさんは特に何もせず、ベランダの使用を控える程度で過ごした。
しかしこの時点ですでに重大な過ちがあった。都内で害獣駆除を手がけるB社の担当者は「卵が産み落とされて3日以内であれば巣ごと撤去可能。それを過ぎると『営巣』とみなされ、鳥獣保護法の対象になる」と指摘する。
■Day4-7:悪臭とダニの発生
4日目に入ると、卵を温めに来る親鳥の頻度が増加。ベランダには糞が蓄積し始め、近隣住民から「異臭がする」と苦情が入った。Aさんが卵を移動させようとした際、巣の周辺に小さな虫が這っているのを発見。保健所に問い合わせると「ハトに寄生するダニの可能性が高い」と告げられた。
横浜市衛生研究所のC博士は「ハトのダニは人にも吸血し、アレルギー性皮膚炎を引き起こす危険性がある。特に小児や高齢者がいる家庭では即時対応が必要」と警鐘を鳴らす。
■Day8-10:法的グレーゾーンに陥る
駆除業者が到着した8日目、事態はさらに悪化していた。卵にひびが入り、中からヒナの鳴き声が聞こえ始めていたのだ。この時点で「繁殖期のハト」は鳥獣保護法で保護対象となるため、自治体の許可なしに巣を撤去できなくなっていた。
結局Aさんは、
- ダニ駆除費用:35,000円
- ベランダ清掃費用:28,000円
- 法律相談費用:15,000円
の計78,000円を支出。さらに「動物虐待」を主張する近隣住民から管理組合に苦情が入る事態に発展した。
不動産弁護士D氏のコメント:「大家から『生物被害による原状回復義務違反』で訴訟を起こされた事例もある。賃貸物件では特に迅速な対応が必要」
■都市部で急増する「ハト被害」の新常識
環境省の調査(2023年)によると、首都圏のハトの生息数は過去10年で約2.3倍に増加。特にマンションのベランダを「人工崖」と認識し、営巣するケースが急増している。
駆除の専門家らが提唱する「3・7・10ルール」:
- 3時間以内:卵発見後、親鳥が戻ってくる前に撤去
- 7日以内:専門業者に依頼(自治体によっては無料対応)
- 10日超:法的リスクが急増(孵化後の駆除は原則禁止)
最後にAさんは「『可哀想』という気持ちが逆にヒナを苦しめる結果になった。もっと早くプロに相談すべきだった」と後悔の言葉を残している。
(取材協力:日本ペストコントロール協会、東京都環境局)
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