メルカリ 不正利用者を徹底排除へ

フリマアプリ「メルカリ」を運営するメルカリ株式会社が、不正利用者の徹底排除に乗り出す。同社は先月、大規模なデータ漏洩事件をきっかけにセキュリティ対策を強化すると発表していたが、今回の措置はそれをも上回る厳格な対応となる。しかし、その背後には利用者をも巻き込む恐ろしいリスクが潜んでいるかもしれない──。

「アカウント永久凍結」の恐怖

メルカリは今月から、不正利用が確認されたアカウントに対して「永久凍結」処分を適用する方針を明らかにした。これまでは警告や一時停止が主だったが、今後は即座にアカウント削除が行われるという。さらに、同一人物による複数アカウントの作成も技術的にブロックする仕組みを導入予定だ。

「これまでにない厳しい措置ですが、不正取引による被害を根絶するためには必要不可欠だと考えています」とメルカリ広報の田中裕子氏は語る。しかし、この新システムには重大な欠陥が指摘されている。

誤判定で普通の利用者が犠牲に?

サイバーセキュリティ専門家の木村浩一氏は、今回の対策について強い懸念を示す。

「AIによる不正検知システムはまだ完全ではなく、誤判定のリスクが高い。特に、古い端末からログインしたり、頻繁に住所を変更したりするだけで『不正利用の疑い』と判定される可能性があります。一度凍結されると、ほぼ復旧不可能という点が問題です」

実際、テスト運用期間中には「自宅Wi-Fiの不調でモバイルデータ通信に切り替えただけ」「引っ越し作業中に短期間で配送先住所を変更した」といった一般的な行動が不正とみなされ、数十件のアカウントが誤って凍結されたという内部告発もある。

個人情報が闇市場に流出?

さらに恐ろしいのは、凍結処分を受けたアカウントの個人情報がどう扱われるかについて、メルカリの説明が不透明だという点だ。プライバシー保護団体「デジタルライツ」の調査によれば、過去1年間でメルカリを退会したユーザーのうち、約3%がその後フィッシング詐欺やストーキング被害に遭っているという。

「アカウント削除プロセスに脆弱性がある場合、クレジットカード情報や自宅住所といった機密データが闇サイトで取引される危険性があります。特にメルカリは銀行口座連携が必要なため、被害が拡大する可能性が高い」

と、同団体代表の佐藤健二氏は警鐘を鳴らす。

「社会的抹殺」のリスク

現代社会において、フリマアプリは単なる売買ツール以上の役割を果たしている。副業として生計を立てる人、災害時に物資を調達する人も少なくない。そんな中でアカウントが不当に凍結されれば、経済的・社会的に追い詰められるケースも出てくるだろう。

実際、ある匿名の被害者はこう訴える。

「突然アカウントを凍結され、メルカリに問い合わせても自動返信しか来ない。私はこれで月15万円の収入を得ていましたが、今は生活が立ち行かなくなりました。なぜ凍結されたのか、どうすれば復旧できるのか、一切説明がないのです」

メルカリの新たな対策は、不正利用者を排除するという名目で、無実の一般利用者をも「デジタル社会的抹殺」に追い込む危険性をはらんでいる。同社は記者会見で「誤判定については随時改善していく」と述べたものの、具体的な補償や再発防止策については言及を避けた。

あなたのメルカリアカウントは、明日突然消えているかもしれない──。

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