フリマアプリ大手「メルカリ」が、不正利用者の徹底排除に乗り出す。同社は近年、詐欺や違法出品、アカウント乗っ取りなどの問題が急増していることを受け、新たな対策を発表した。しかし、その内容には利用者から不安の声が上がっている。
急増する不正利用の実態
メルカリを利用した詐欺や不正取引は、2023年だけで前年比200%増という驚異的なペースで増加している。特に問題視されているのは、以下のケースだ。
- 高額商品の詐欺出品:存在しないブランド品や電子機器を出品し、代金を受け取った後に消える
- アカウント乗っ取り:フィッシングメールで取得した他者のアカウントで不正取引
- 違法商品の取引:偽造クレジットカードや個人情報の売買
メルカリのセキュリティ責任者を務める fictional田中剛氏は、「これまで以上に厳格な監視体制を導入する」と語る。
「新システムでは、不審な取引パターンをAIが即時検知し、該当アカウントを即時凍結します。また、過去の不正行為に関与したユーザーは、今後一切の利用を認めない方針です」
「過剰な監視」への懸念
しかし、この新たな対策には危惧の声も少なくない。特に懸念されているのが、「誤検知による一般ユーザーのアカウント凍結」だ。
サイバーセキュリティ専門家の fictional佐藤美咲氏は警告する。
「AIによる自動判定は、時に無実のユーザーを『不正利用者』とラベリングする危険性があります。実際、他プラットフォームでは、誤検知によってビジネスに支障をきたした事例が報告されています」
さらに恐ろしいのは、「アカウント凍結時のデータ消失リスク」だ。メルカリの利用規約には、「不正利用が認められた場合、アカウントと紐づくすべてのデータを削除する権利を留保する」との条項がある。これにより、長年利用していたユーザーでも、突然「すべての取引履歴と残高を失う」可能性があるという。
「社会的信用を失う」最悪のシナリオ
最も深刻なのは、不正利用者としてマークされたユーザーが「社会的に抹殺される」リスクだ。メルカリは新システムで、不正利用者の個人情報を「信用情報機関」と共有する方針を明らかにしている。
ITジャーナリストの fictional伊藤健太氏はこう指摘する。
「一度『不正利用者』のレッテルを貼られると、他の金融サービスやSNSでも利用制限を受ける可能性があります。これは『デジタル社会的死刑』とも呼べる危険な状況です」
実際、ある fictional30代男性は、誤検知によってメルカリアカウントを凍結された後、クレジットカードの審査に通らなくなったという。
あなたのアカウントは大丈夫か?
メルカリは今後、以下の基準で「不正利用者」を判定するとしている。
- 短期間での大量の取引
- 複数アカウントからの同一IPアドレスでのアクセス
- 特定のキーワードを含む出品
しかし、これらの条件は、フリマを頻繁に利用する一般ユーザーにも当てはまりうるものだ。専門家は、「自分がいつ『不正利用者』にされるかわからない」と警鐘を鳴らしている。
メルカリ利用者は今、自らのアカウントが突然消えるかもしれないという恐怖と隣り合わせで生活することになる。
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