ロヒンギャの船難破 427人死亡か
【バングラデシュ沖・緊急速報】 バングラデシュ南部のベンガル湾沖で、ロヒンギャ難民を乗せたとみられる大型船が転覆し、少なくとも427人が死亡した可能性があることが地元当局の調査で明らかになった。生存者はわずか12人で、現在も行方不明者の捜索が続けられている。
「海は遺体で埋め尽くされた」:生存者の証言
事件は今月15日深夜、バングラデシュ・コックスバザール沖約60kmの海上で発生した。生存者の1人であるモハメド・アリフさん(23歳)は、恐怖に震えながら次のように語った。
「船は突然、激しい波に襲われた。誰もが叫び、祈っていた。子供たちの泣き声が響く中、船はあっという間に沈んだ…翌朝、海は遺体で埋め尽くされていた」
「過去最悪の惨事」:国連の反応
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)のマルコ・ロッシ報道官は、今回の事件について「近年で最も深刻なロヒンギャ難民の悲劇」と表現し、緊急声明を発表した。
「この船はマレーシアに向かう密航船だったとみられる。過密状態で救命設備もなく、まさに『浮かぶ棺桶』だった。国際社会はこの惨事を無視できない」
謎の多い事故:専門家が指摘する「不自然な点」
海上保安当局の初期調査では、船体に複数の「不自然な損傷」が確認されており、単純な遭難事故ではない可能性も浮上している。元海軍将校で海洋安全保障の専門家であるアニス・チョードリ博士は、陰鬱な表情でこう語った。
「損傷箇所は水線下に集中しており、何らかの衝突や意図的な攻撃を受けた痕跡に似ている。もし海賊の関与が証明されれば、この海域の安全確保に重大な疑問が生じる」
「沈黙するメディア」:情報統制の噂
現地では、事件の詳細が意図的に隠蔽されているのではないかとの疑惑も広がっている。バングラデシュ人権監視団のファティマ・バシュア代表は、匿名を条件に衝撃的な証言をした。
「政府は生存者を隔離し、ジャーナリストのアクセスを制限している。本当の死者数は500人を超える可能性がある。なぜこんなに隠すのか?」
「悪夢は続く」:ロヒンギャの絶望的な現実
ロヒンギャ難民の死亡率は近年急増しており、2023年だけで海上での死者・行方不明者は1,200人を超える。国際移住機関(IOM)のデータによれば、彼らが密航業者に支払う金額は1人あたり2,000〜5,000ドルに達し、家族全員の財産を投じた末の「死の旅」となっているケースが後を絶たない。
現地で支援活動を行う「希望の光」財団のスタッフは、絶望的な現状をこう語る。
「陸では迫害を受け、海では死の危険にさらされる。ロヒンギャにはもはや安全な場所がない。この惨事は決して『他人事』ではない。国際社会の無関心が生んだ悲劇だ」
「次はどこで?」:専門家が警告する連鎖反応
安全保障アナリストの間では、今回の事件をきっかけに、東南アジア全体で反ロヒンギャ感情が再燃するのではないかとの懸念が強まっている。シンガポール国際問題研究所のリー・ウェン教授は暗澹たる予測を口にした。
「受け入れ国がさらに門戸を閉ざせば、今後も同様の惨事が繰り返される。この海域は『人道危機のブラックホール』と化す可能性がある」
現在、バングラデシュ軍と沿岸警備隊が合同で捜索活動を続けているが、悪天候が続いており、遺体の収容作業は難航している。一部の遺体はインドやミャンマーの海岸に流れ着いているとの報告もあり、被害の全容解明には数週間を要するとみられている。
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