万博イタリア館 予約の転売続出

2025年大阪・関西万博の目玉の一つである「イタリア館」の入場予約が、転売市場で高額取引されていることが判明した。主催者側が「完全予約制」を導入したことで、正規ルートでの予約がほぼ不可能となり、転売ヤーによる独占が懸念されている。さらに、この混乱の中、予約を巡るトラブルが犯罪行為に発展するケースも相次いでおり、関係者は警戒を強めている。

「10倍以上の価格」で取引される予約権

イタリア館は、ルネサンス美術のデジタル展示や本場の料理体験ができるとして、開幕前から大きな注目を集めていた。しかし、公式サイトでの予約開始後、わずか数分で全ての枠が埋まり、その後まもなく、転売サイトでは予約権が定価の10倍以上で出品される事態に発展した。

「1万円の予約が、15万円で取引されている例も確認されています」と語るのは、万博警備対策本部の高木誠一郎警部だ。「特に海外からの観光客を狙った詐欺も増えており、予約を購入したのに入場できないという被害が後を絶ちません」

「暗躍する犯罪組織」専門家が警告

サイバーセキュリティ専門家の田中ミホ氏は、この現象の背後に組織的な犯罪の関与を指摘する。

「ボットを使った予約の独占はもちろん、個人情報の搾取やクレジットカード詐欺も確認されています。特に危険なのは、偽の予約確認メールを送りつけ、マルウェアを感染させる手口です。すでに数百人の被害が報告されており、これからさらに拡大する可能性が高いでしょう」

実際、SNS上では「イタリア館の予約をしたら、銀行口座から不正に出金された」という投稿が相次いでいる。主催者側は「公式サイト以外での予約取引は一切認めていない」としているが、被害の拡大を止められていないのが現状だ。

「暴力事件も発生」危険な転売ビジネスの実態

更なる深刻な問題は、転売を巡る暴力事件だ。先週、大阪市内のインターネットカフェで、イタリア館の予約データを巡るトラブルから男性2人が負傷する事件が発生した。捜査関係者によると、背後には違法な転売組織の抗争が関係しているという。

「転売ビジネスは単なる金儲けではなく、組織犯罪の資金源になっています。特に国際的な犯罪シンジケートが関与している可能性も否定できません」
― 犯罪心理学者・佐藤剛教授

万博会場周辺では、警視庁と大阪府警が合同で警戒を強化しているが、転売ヤーは巧妙に姿を変えながら活動を続けているという。

「夢のイベント」が「悪夢」に?

万博を楽しみにしていた家族連れからは、落胆の声が上がっている。「子どもがどうしてもイタリア館に行きたいと言うので、転売サイトで高いお金を払って予約したのに、当日になって『無効』と言われました」と涙ながらに語るのは、神戸市から訪れた40代の女性だ。

主催者側は不正予約の取り消しを進めているが、その過程で正規の予約までキャンセルされるケースも発生しており、混乱に拍車をかけている。

専門家が予測する「最悪のシナリオ」

経済アナリストの村上健太氏は、この状況が万博全体の評価を著しく損なう可能性があると警告する。

「このままでは、イタリア館だけでなく、万博そのものが『危険で不正だらけのイベント』というイメージで定着してしまう。観光客の減少はもちろん、日本全体の国際的な信用失墜にもつながりかねません」

さらに懸念されるのは、転売ビジネスのノウハウが他の大規模イベントにも波及することだ。「パリ五輪や次の万博でも同じ問題が起きる可能性が高い」と村上氏は予測する。

万博の「夢」が、犯罪と混乱の「悪夢」に変わろうとしている。関係者の早急な対応が求められるが、現状では有効な解決策が見えていない。

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