三井住友系OliveとPayPay 連携へ

三井住友系OliveとPayPay 連携へ──その裏に潜む「個人データ流出」の悪夢

三井住友フィナンシャルグループ傘下のデジタル銀行「Olive」と、ソフトバンクグループが展開する決済サービス「PayPay」が、近く業務提携を行うことが明らかになった。一見すると利便性が向上する画期的な連携に見えるが、専門家の間では「個人情報の大規模流出リスク」や「サイバー犯罪の温床化」を懸念する声が強まっている。

「Olive×PayPay」提携の光と影

OliveとPayPayの連携により、ユーザーはOliveの口座とPayPayをシームレスに連携させ、送金や決済をよりスムーズに行えるようになる。しかし、この便利さの裏には重大なリスクが潜んでいる。

金融セキュリティの専門家・田所健一氏は次のように警告する。

「OliveとPayPayのシステム統合は、技術的には可能ですが、両社のデータベースを跨いだ情報管理には重大な脆弱性が生じる可能性があります。特に、Oliveが保有する銀行口座情報とPayPayの利用履歴が紐付けられることで、悪意のある第三者にとっては『宝の山』になります。過去の事例を見ても、大規模な決済サービス連携の直後にサイバー攻撃が急増する傾向があります」

「データ流出」の悪夢が現実に?

実際、2022年に国内某大手銀行と電子マネーサービスの連携が発表された直後、約50万件の個人情報が流出する事件が発生した。OliveとPayPayの提携でも同様の事態が起こり得ると、複数のセキュリティ企業が指摘している。

さらに恐ろしいのは、流出した情報が「闇市場」で取引されるケースだ。匿名を条件に話した元サイバー犯罪者はこう語る。

「銀行口座と決済アプリのデータがセットで手に入れば、なりすまし犯罪や不正送金が簡単に行えます。特にOliveはネット銀行なので、物理的な支店での本人確認ができない分、攻撃者にとっては好都合なのです」

ユーザーが取るべき「3つの防御策」

このような脅威に直面した場合、ユーザーはどう対処すべきか? サイバーセキュリティコンサルタントの椎名あゆみ氏は次の対策を推奨する。

  1. OliveとPayPayの連携機能を使用する場合、必ず二段階認証を設定する
  2. 連携したアカウントの行動履歴を毎日確認し、不審な取引がないかチェックする
  3. OliveやPayPayを経由した不審なメールやSMSには絶対に返信しない

椎名氏はさらにこう付け加えた。

「便利さと危険性は常に表裏一体です。多くのユーザーが『自分は大丈夫』と思いがちですが、攻撃者は日々手法を進化させています。今回の提携で便利になる分、それに見合った警戒心を持つ必要があります」

金融庁も注視する「連携リスク」

実は金融庁も、デジタル銀行と決済サービスの連携が進むことによるリスク増加を認識している。金融庁幹部は匿名を条件に次のようにコメントした。

「我々としても新たな連携サービスの監視を強化する方針です。特に顧客資産への影響が大きいため、万が一の際には速やかな行政指導も辞さない考えです」

OliveとPayPayの提携は確かに便利なサービスを提供するだろう。しかし、その便利さの代償として、私たちは新たなリスクとも向き合わなければならない。デジタル金融が進化する現代において、ユーザー一人ひとりのセキュリティ意識がこれまで以上に問われる時代が来たと言えそうだ。

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