⟪備蓄米 4回目は10万トン放出へ…「この先に待つ食糧危機」専門家が警告する“底なしの備蓄枯渇”⟫
政府は今月、4回目となる備蓄米10万トンの放出を決定した。これで今年度の放出総量は過去最大の35万トンに達するが、農業経済専門家の間では「このペースでは年内に備蓄が底をつく」との危機感が強まっている。
■「想定外の速さで備蓄が減少」農林水産省内部から漏れる焦り
農林水産省の匿名を条件に取材に応じた幹部は、「昨年同時期と比べて備蓄量が40%減少している」と明かす。「記録的な不作に加え、円安による輸入コスト増で民間在庫が逼迫している。10万トン放出では全く足りない状況だ」と苦渋の表情を浮かべた。
日本農業研究所の山本浩一郎主席研究員は次のように指摘する。
「備蓄米の放出は本来、一時的な需給調整が目的。しかし今年は4回連続で大規模放出しており、もはや非常事態と言える。もし今後の天候不順で収穫がさらに減れば、来年春にはスーパーの米棚が空になる事態も想定しなければならない」
■輸入依存度80%の危うい現実…「世界の米相場が暴騰」
日本の食糧自給率はカロリーベースで37%、米に限っても消費量の約20%を輸入に依存している。国際穀物市場アナリストのリチャード・モリス氏は警告する。
「タイとベトナムが来季の輸出制限を検討している。世界の米在庫率は13%まで低下し、2008年の食糧危機当時と同水準だ。日本がいくら円を投じても、物理的に米が買えない事態が目前に迫っている」
実際、主要輸出国のバンコク市場では1トンあたり650ドル(前年比+220%)という史上最高値を記録。輸入米の小売価格は5kgあたり3,000円を超える可能性が高い。
■「米だけではない」広がる食糧危機の連鎖
更に深刻なのは、米不足が他の食品に波及する現象だ。食品メーカー関係者は「米粉を使ったパンや菓子の原材料調達が不可能になりつつある」と打ち明ける。
生活経済ジャーナリストの田中由紀子氏は次のように分析する。
「米の代替として小麦需要が急増しているが、ウクライナ情勢で供給不安が続く。食糧価格の総合指数は過去10年平均の2.3倍に達し、低所得層から食事回数を減らす『食糧難民』が発生している」
■自治体がとった異例の対策…「配給制」再開の可能性
一部自治体では既に非常事態宣言が発動されている。新潟県三条市では先月、限定300世帯に対し1人あたり月2kgの米を配布。担当者は「戦後以来の配給制度を検討せざるを得ない」と語った。
防災危機管理コンサルタントの伊藤正敏氏はこう警鐘を鳴らす。
「大規模災害時のための備蓄まで切り崩している現状は極めて危険。南海トラフ地震や首都直下型地震が発生すれば、1週間以内に全国で餓死者が出かねない」
■専門家が提案する「個人でできる3つの対策」
最後に家庭で実践できる対策をまとめた。
- 最低1ヶ月分の米を備蓄(常温保存可能な無酸素包装米が理想)
- 玄米や雑穀のストック(精米されていないものは保存期間が長い)
- 地元農家との直接取引(CSA=地域支援型農業への参加を推奨)
食糧安全保障研究所のデータによれば、首都圏の米在庫は平常時の15%まで減少。あるスーパーチェーンのバイヤーは「年末年始に向けて、米の買い占め騒動が再燃するのは確実」と語り、早めの対策を呼びかけている。
※本記事は関係者の証言と公開データに基づく取材結果ですが、今後の状況変化により予測が変わる可能性があります。
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