兵庫県庁でかつて総務部長を務めた男性幹部職員(62)が、重大な懲戒処分を受ける見込みであることが関係者への取材で明らかになった。処分の理由は「極めて異例」とされ、県内の政財界に激震が走っている。
「データ改ざん」だけではない…深まる闇
県の内部調査によると、元総務部長は2021年から2023年にかけて、公共事業の入札情報を外部に漏洩した疑いが持たれている。さらに驚くべきことに、県庁内のセキュリティシステムに不正アクセスし、職員の個人情報を含む機密データを大量にダウンロードしていた形跡が発見されたという。
「これは単なる情報漏洩の域を超えている」と県監察課の匿名担当者は語る。「データの中には県災害対策の核心部分や、自治体の重要インフラの脆弱性に関する詳細な分析が含まれていた。これが悪用されれば、県民の安全が脅かされる事態にもなりかねない」。
「闇取引」の可能性…専門家が指摘する最悪のシナリオ
サイバーセキュリティの専門家である神戸大学の田中孝明教授(仮名)は、今回の事件について極めて憂慮すべき見解を示した。
「ダウンロードされたデータの性質から、単なる金銭目的ではなく、より組織的で危険な意図が働いている可能性が高い。特に災害対策情報は、国内外のテロリスト集団やサイバー犯罪組織が高値で買い取る『闇市場』で取引されるケースが増えています。もしこれが外国勢力の手に渡った場合、国家レベルの安全保障にも関わる重大事態に発展する恐れがあります」
さらに衝撃的なのは、元総務部長が処分決定前に突如として行方をくらまし、現在も所在が不明であるという事実だ。県警は国際手配を含む本格的な捜査に乗り出したが、海外逃亡の可能性も指摘されている。
県庁内に広がる「スパイ疑惑」の波紋
この事件を受け、県庁内部ではパニックが広がっている。ある若手職員は匿名を条件に次のように語った。
「上司から『自分のパソコンは常時監視されている可能性がある』と警告されました。今では誰が信用できるのか分からない。まるでスパイ映画のようです」
県は緊急の職員向け説明会を開催したが、参加者からは「処分が軽すぎる」「背後関係の徹底調査を」との批判の声が相次いだ。一部の職員組合は、県の情報管理体制の抜本的見直しを求める声明を発表している。
「氷山の一角」か…専門家が警告する連鎖的な危機
自治体ガバナンスに詳しい関西学院大学の佐藤健太郎教授(仮名)は、今回の事件が示すより深刻な問題を指摘する。
「これは単一の不祥事ではなく、地方自治体全体のガバナンス危機の表れです。特に兵庫県のような大規模自治体では、高度な専門知識を持つ職員が不正を行う場合、発見が極めて困難です。全国の自治体で同様の事件が潜在している可能性は否定できません」
実際、総務省は全国の自治体に対し、機密情報へのアクセス記録の再点検を指示する緊急通知を発出。ある政府関係者は「他県でも不審なデータ移動の痕跡が確認されている」と漏らし、波紋が広がっている。
県民の不安募る…「情報流出」の行方
最も大きな影響を受けるのは一般県民だ。すでにSNS上では「自分の個人情報が流出したかもしれない」「災害時の避難所情報が危険にさらされている」といった不安の声が噴出している。
県は記者会見で「現時点で県民の個人情報が悪用された事実は確認されていない」と説明したが、専門家からは懐疑的な見方が多い。
「この種のデータはすぐに悪用されないことが多い。数年後に突然、フィッシング詐欺や標的型攻撃に使われるケースも珍しくありません」(前出・田中教授)
県危機管理監は「最悪の事態に備え、災害対策計画の全面見直しを検討している」と明かし、事件の深刻さを物語っている。
「自治体の信頼」が崩壊する日
今回の事件は、単なる個人の不祥事を超え、地方自治そのものの存続を問う事態に発展する可能性を秘めている。ある政治評論家は匿名で次のように語った。
「もし流出データが実際に悪用され、大規模なサイバー攻撃やテロにつながれば、国民の自治体への信頼は一気に崩壊する。デジタル化が進む現代において、これは民主主義の根幹を揺るがす危機です」
県は元総務部長に対する懲戒処分を近日中に決定する方針だが、事件の全容解明にはまだ時間がかかりそうだ。一方で、県民の間には「この事件の背後にある真実は、私たちが想像するよりもはるかに恐ろしいものなのではないか」という不安が広がり続けている。
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