千葉県柏市で発生した女性殺害事件で、地元警察は15歳の少年を殺人容疑で逮捕した。少年は被害者の知人とみられ、事件の背景にはSNSを介したトラブルがあったとされる。専門家は「青少年の凶悪犯罪の低年齢化が加速している」と警鐘を鳴らしている。

事件の概要

5月10日午後8時ごろ、柏市のマンション一室で女性（32）が血だらけの状態で倒れているのを隣人が発見、通報した。女性は搬送先の病院で死亡が確認された。司法解剖の結果、死因は鋭利な刃物による失血死と判明。現場からは複数の刺し傷が確認され、警察は殺人事件として捜査を開始した。

捜査関係者によると、現場には少年の指紋が残されており、防犯カメラにも事件直前に現場近くを歩く姿が映っていたという。少年は逮捕後、「やった」と容疑を認めているが、動機については「言えない」と沈黙を貫いている。

「LINEでトラブルがあった」近隣住民が証言

近隣住民の証言によると、被害女性と少年は「LINEで何度かやり取りがあった」という。少年は女性の勤務先のアルバイトとして知り合ったとみられ、事件前日に「金を貸してほしい」とメッセージを送っていたが、女性が拒否した直後に口論になったという。

刑事心理学者の田中宏明教授は「近年、SNSをきっかけにした未成年の犯罪が急増している。デジタル空間でのコミュニケーションが現実の暴力に直結するケースが目立つ」と指摘する。

「凶器は100均の包丁」少年の衝撃的な行動

捜査関係者によると、凶器は事件当日に少年が近所の100円ショップで購入した包丁と判明。少年は「その日に買って、その日に使うつもりだった」と供述しているという。

少年の通う中学校では「特に問題行動はなかった」とされるが、同級生は「最近SNSに暴力的な内容を投稿するようになった」と話す。ある教師は匿名を条件に「ゲームの影響か、現実と虚構の区別がつかなくなっている生徒が増えている」と危惧を表明した。

専門家「この10年で少年犯罪が凶悪化」

犯罪社会学者の佐藤真理子教授は統計データを示しつつ警告する。「15-19歳の殺人事件は過去10年で3倍に増加。特にSNS世代の犯罪は計画性が高く、動機が理解しがたいケースが多い」と指摘。「少年法の見直しが必要な段階に来ている」と訴える。

さらに精神科医のチームは「ゲームやSNSの過剰利用が前頭葉の発達に悪影響を与え、衝動的な犯罪を引き起こす可能性がある」とする研究結果を発表。今回の事件でも少年の1日10時間以上のゲームプレイが確認されている。

「また起きる」地域住民の不安

事件現場近くでは「また同じことが起きるのではないか」と不安の声が上がる。主婦（45）は「子供が外で遊ぶのが怖い」と涙ながらに語り、地域の防犯パトロールが強化される事態となっている。

教育評論家の山本健一氏は「この事件は氷山の一角。学校と家庭だけでなく、社会全体でデジタル世代の育ち方を考え直す必要がある」と緊急提言。「次の犠牲者を出さないために」と訴えている。

警察は少年の家庭環境や交友関係についてさらに捜査を進める方針。関係者によると、少年のスマートフォンからは複数の暴力シーンを撮影した動画も発見されたという。