「息子は登校前、リビングで泣きながら『もう死にたい』と繰り返していた」——。千葉県で発生した中学3年生殺害事件から1週間。被害少年の父親（45）が初めて事件当日の”異常な状況”を明かした。取材を進めると、「SNS上の脅迫」「学校の対応ミス」「精神科医の危惧する『青少年の自殺連鎖』」という衝撃的事実が浮かび上がる。

■事件当日の”最後の会話”

父親は震える声で当時を振り返る。
「あの朝、息子はスマホを見ながら突然泣き出しました。『クラスのグループLINEで「消えろ」と書かれた』と…学校に連絡しましたが『いじめの証拠はない』の一点張りでした」

午後2時17分——父親のスマホに学校から一本の着信があった。「お子さんが行方不明です」。その3時間後、少年は商業施設のトイレで血だらけの状態で発見された。腹部に複数の刃物傷、首には絞められた痕があった。

■「いじめアプリ」の闇…専門家が指摘する”証拠消去”の手口

少年が利用していたとされる匿名チャットアプリ「Tellonym」では、事件後も「あいつが死んだのは自業自得」「次はお前らがターゲットだ」といった書き込みが続いているという。

サイバー犯罪対策の専門家・佐藤剛氏（仮名）が解説する。
「この種のアプリは投稿が自動消去される仕様。いじめの証拠が残らないよう設計されています。加害側は『証拠が残らないから何をしても大丈夫』という心理が働き、エスカレートするケースが後を絶ちません」

■学校の”致命的な見落とし”

被害少年の通学記録簿には、事件前月から「保健室登校」「不審な傷」などの記載が確認されている。しかし教育委員会の調査によれば、学校は「個別のケアが必要」と判断しながらも、具体的な対策を何も講じていなかった。

元校長の田中良子氏（仮名）は内部事情を暴露する。
「『いじめ認定』すると学校の評価が下がる。管理職は『問題なし』と報告書を書き換えるよう圧力をかけるのです。今回も『自殺願望の訴え』を『軽度の登校しぶり』と書き換えていた」

■精神科医が警告する「自殺連鎖」の危険性

青少年の自殺に詳しい精神科医・山本徹也氏（仮名）は「3ヶ月以内に同年代の自殺が増加する」と予測する。

1. 「ウェルテル効果」：メディア報道が模倣自殺を誘発
2. 「SNS感染」：遺書や自殺方法がネット上で拡散
3. 「いじめの正当化」：加害側が「正義」だと錯覚

「特に危険なのは『殉教者化』現象です。被害生徒が『いじめ撲滅の英雄』として祭り上げられ、弱い立場の子たちが『自分も死ねば注目される』と誤解するケースが増えています」（山本氏）

■父親の慟哭「あの時、学校を訴えるべきだった」

事件から1週間——父親は今、「たった1通のLINEを見逃した」という後悔に苛まれている。

「2ヶ月前、息子から『助けて』と届いたメッセージがあった。でも『大げさな』と思い、しっかり話を聞いてあげられなかった…あの時すぐ学校を訴えていれば」

教育ジャーナリストの木村浩一氏（仮名）は警告する。
「この事件は氷山の一角。全国の学校で同様の『見て見ぬふり』が日常化しています。次の犠牲者を出さないためには、保護者による『学校訴訟』の増加が不可欠かもしれません」

葬儀の日、父親は息子の遺品整理中にあるノートを発見した。最後のページには「僕が死んだら、いじめはなくなるかな」——そうしたためられた文字は、今も父親の目の裏に焼き付いて離れない。