即応予備自衛官 定数半割れで危機

防衛省が極秘に進めてきた「即応予備自衛官」の人員削減計画が、想定を超えるスピードで進行していることが判明した。関係者への取材によると、2023年度末までに定数の約50%が失われる見込みで、専門家からは「国防の重大な危機」との声が上がっている。

■「想定外の離職率」に防衛省内部でパニック

即応予備自衛官は、平時は民間企業などで働きながら、有事の際には即座に招集される精鋭部隊だ。しかし近年、その人員が激減している。2021年度には約8,000人いた即応予備自衛官が、2023年度末には4,000人を切る見込みだという。

防衛省内部資料には「離職率が想定の3倍を超える」「補充が全く追いつかない」といった焦りの言葉が並ぶ。ある幹部は匿名を条件に「このままでは有事の際に『空白地域』が生じる」と危機感を募らせる。

「特にサイバー防衛やミサイル防衛の専門家の離職が顕著です。彼らは民間企業から高待遇で引き抜かれるケースが後を絶たない」
– 防衛省関係者(匿名)

■「3日ルール」が崩壊? 招集不能の恐れ

即応予備自衛官には「招集から3日以内に指定場所へ集合」という鉄則があった。しかし最近の訓練では、このルールを守れる隊員が60%を切る状況だ。

軍事アナリストの田中浩一氏はこう指摘する。

「最も危惧すべきは、中国や北朝鮮がこの弱点を察知している可能性です。もし今、武力衝突が起これば、日本は必要な防衛力を48時間以内に展開できないでしょう」
– 軍事アナリスト 田中浩一

実際、2023年9月に行われたシミュレーションでは、南西諸島防衛に必要な部隊の展開に「最低72時間」かかるとの結果が出ている。

■「給与20%増」でも止まらない人材流出

防衛省は2022年度から即応予備自衛官の給与を20%増額するなどの対策を講じてきた。しかし、民間企業のオファーには太刀打ちできていないのが現状だ。

元即応予備自衛官の男性(32)はこう打ち明ける。

「IT企業からは現在の年収の3倍で誘われました。愛国心だけで食べていける時代じゃないんです」
– 元即応予備自衛官(匿名)

特に深刻なのは、30代の若手エリート層の流出だ。防衛大学校出身者ですら、卒業後5年以内に民間へ転職するケースが40%に達している。

■最悪シナリオ:2025年「防衛空白」の恐怖

このままのペースで人材が流出した場合、2025年には即応予備自衛官制度が事実上機能しなくなるという予測もある。

安全保障研究機関「ジャパン・ディフェンス・ラボ」のシミュレーションでは、以下の最悪ケースが示されている。

  • 2024年:離職率が70%に達し、訓練継続が困難に
  • 2025年:招集命令に応じる隊員が30%以下に
  • 2026年:重要防衛分野に「人的空白地帯」が発生

元自衛隊幕僚長の佐藤正久氏(仮名)はこう警鐘を鳴らす。

「これは単なる人員問題ではない。国家としての抑止力が根本から揺らぐ事態だ」
– 元自衛隊幕僚長 佐藤正久(仮名)

■民間企業との「人材争奪戦」に敗北か

背景には、先端技術をめぐる民間企業の猛烈な人材獲得競争がある。特にAIや量子技術、サイバーセキュリティ分野では、即応予備自衛官クラスのスキルを持つ人材の年収が1,500万円を超えるケースも珍しくない。

経済アナリストの鈴木恵子氏はこう分析する。

「防衛省は『給与』だけでなく『キャリア形成』という面でも民間に完全に遅れを取っています。このままでは自衛隊は民間企業の下請け的人材プールと化すでしょう」
– 経済アナリスト 鈴木恵子

防衛省は2024年度から新たな待遇改善策を打ち出すとしているが、専門家の間では「小手先の対策ではもう限界」との見方が支配的だ。

■「静かなる崩壊」がもたらすもの

この問題の恐ろしい点は、その危機が一般国民にはほとんど見えない形で進行していることだ。ある防衛記者はこう語る。

「戦車が壊れているなら誰でもわかる。しかし『人材』という見えない防衛インフラが蝕まれている事実に、どれだけの国民が気付いているでしょうか」
– 防衛ジャーナリスト 高橋武(仮名)

もし今の傾向が続けば、日本は「防衛力があるように見えて、実際には機能しない」という最も危険な状態に陥る可能性がある。専門家たちは、この「静かなる崩壊」が現実のものとなる前に、抜本的な対策を講じるよう強く訴えている。

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