婚活アプリで独身と嘘 裁判相次ぐ
近年、婚活アプリを利用した出会いが増える中、「独身と偽って結婚相手を探していた」という驚きの事実が明らかになり、全国で訴訟が相次いでいる。多くのユーザーが「騙された」と主張し、中には深刻な精神的ダメージを受けたケースも報告されている。専門家は「この問題は氷山の一角に過ぎない」と警告し、婚活アプリの闇に迫った。
「理想の相手」の正体は既婚者
東京都内に住む30代女性Aさん(仮名)は、人気婚活アプリ「マリッジ・スタート」で出会った男性と交際を開始した。プロフィールには「独身」と明確に記載されていたが、交際が進むにつれ、男性の行動に不審な点が目立つようになった。
「夜中に突然電話が来なくなり、週末も会えなくなりました。調べてみたら、実は結婚していて子供までいたんです」
Aさんは精神的ショックからうつ状態に陥り、現在は男性に対して慰謝料請求の訴訟を起こしている。弁護士によると、「ここ1年だけで同様の訴訟が全国で50件以上発生している」という。
アプリ運営側の対応に批判の声
問題となっている婚活アプリの多くは、本人確認書類の提出を義務づけていない。あるアプリ関係者は匿名を条件に次のように語った。
「完全な本人確認を実施するとユーザー数が激減するため、ビジネス的に難しい面があります」
しかし、サイバー犯罪に詳しい法律専門家の佐藤健一氏(仮名)はこう指摘する。
「これは明らかな詐欺行為です。アプリ運営会社にも一定の責任があると言えるでしょう。特に既婚者が独身を装うケースでは、不倫の助長にもつながりかねません」
「なりすまし婚活」の恐ろしい末路
さらに深刻なのは、「全くの別人になりすまして婚活アプリを利用する」ケースだ。昨年、大阪で発生した事件では、40代男性が他人の写真と経歴を使い、複数の女性と同時に交際。合計500万円以上の金品を騙し取っていた。
刑事事件として立件されたこのケースについて、心理学者の田中由美子氏(仮名)は警告する。
「なりすまし婚活をする人物の多くは、反社会性パーソナリティ障害の傾向があります。金銭目的だけでなく、相手を精神的に追い込むことを楽しむケースも少なくありません」
婚活アプリ利用者が取るべき対策
専門家は、婚活アプリを利用する際に以下の点を強く推奨している。
- 必ず複数回のビデオ通話を行い、本人確認をする
- SNSアカウントを相互に確認し、交友関係をチェックする
- 早い段階で実際に会い、勤務先や自宅周辺の情報を確認する
- 不審な点があればすぐにアプリ運営会社に通報する
婚活アプリは便利なツールだが、「そこに書き込まれている情報の全てが真実ではない」ということを肝に銘じておく必要がある。今後も増加が予想される「婚活詐欺」被害。あなたが次にマッチングする相手は、本当に信頼できる人物だろうか?
コメント