婚活アプリで独身と嘘 裁判相次ぐ

近年、婚活アプリの利用者が急増する中で、「独身と偽って既婚者が登録」するケースが後を絶たず、全国各地で訴訟が相次いでいる。専門家は「この問題は単なる個人のモラル違反ではなく、社会全体に深刻な影響を与える危険性がある」と警告している。

「理想のパートナー」の正体

東京都内に住む30代女性Aさん(仮名)は、人気婚活アプリ「マリッジリンク」で出会った男性と交際を始めた。プロフィールには「独身」と明記されていたが、交際から3ヶ月後、Aさんは衝撃の事実を知る。

「彼の自宅を訪れたら、奥さんと子供がいました。最初は『妹と姪』だと説明されましたが、明らかにおかしい。調べてみると、結婚歴があり、現在も婚姻関係が続いていたのです」

Aさんは精神的苦痛を理由に男性を提訴。裁判では男性が複数の女性と同時に交際していた事実も発覚し、賠償金500万円の支払い命令が下された。

専門家が指摘する「闇婚活」の実態

婚活コンサルタントの佐藤真理子氏(仮名)は、この問題の深刻さを次のように語る。

「最近では『闇婚活』と呼ばれる悪質なケースが増えています。既婚者がアプリで複数の異性と関係を持ち、金銭や性的な利益を得ようとする。中にはストーカー行為や脅迫に発展する事例もあり、非常に危険です」

さらに驚くべきは、「既婚者専門の攻略コミュニティ」が存在するという事実だ。ある元利用者は匿名を条件に次のように証言した。

「『既婚でもモテる技術』を教える有料グループがありました。プロフィール写真の撮り方から、独身に見せるための話術まで、全てがマニュアル化されていた」

アプリ運営側の対応は?

主要な婚活アプリ運営会社に対し、本人確認の強化を求める声が高まっている。しかし、あるアプリ関係者は匿名で次のように打ち明ける。

「完全な対策は不可能に近いです。運転免許証などで本人確認をしても、婚姻状況までは確認できません。自治体と連携する必要がありますが、プライバシーの問題もあり…」

実際、2023年に某大手アプリが導入した「婚姻状況確認システム」は、わずか3ヶ月で中止に追い込まれた。背景には「個人情報の過剰な収集」への批判があったという。

弁護士が警告する「取り返しのつかない事態」

渋谷法律事務所の田中浩弁護士は、婚活アプリを巡るトラブルの深刻化について警鐘を鳴らす。

「最近では、既婚者と知らずに妊娠した女性からの相談も増えています。子供が生まれた後で事実を知り、精神的に追い詰められるケースも。中には自殺未遂に至った事例もあり、これはもはや社会問題です」

さらに恐ろしいのは、「復讐目的の悪用」が増えている点だ。ある離婚調停中の男性は、元配偶者が婚活アプリに自分の写真を無断で掲載し、誹謗中傷のメッセージを送らせていたことが発覚。裁判では損害賠償が認められたが、ネット上に拡散された情報は完全には消せていないという。

あなたの「理想の相手」は本当に独身ですか?

専門家は、婚活アプリ利用者に対して以下の点を強く呼びかけている。

  • 会う前に必ずSNS等で経歴を確認する
  • 勤務先や自宅を実際に訪れてみる
  • 不自然にプライベートな質問を避ける相手には注意
  • 怪しいと思ったらすぐにアプリ運営に通報

「便利な婚活アプリは、同時に危険な罠にもなり得る」と佐藤氏は語る。「愛情を求める気持ちに漬け込む、新しい形の犯罪が増えているのです」

今後も増加が予想される「婚活アプリ訴訟」。利用者はより一層の警戒が必要とされている。

コメント

タイトルとURLをコピーしました