学校で案内した催し 返金トラブル

ある小学校で行われた保護者向けのイベントが、返金トラブルによって大混乱に陥り、保護者たちの怒りを買っている。当初は子どもたちのための楽しい催しとして企画されたはずが、今や訴訟問題にまで発展する可能性が出てきた。一体何が起きたのか？

「楽しい学びの場」のはずが…

先月、東京都内の公立小学校で「未来の科学を体験しよう！」と題した保護者向け有料イベントが開催された。参加費は一人当たり5,000円で、最先端の科学実験やVR体験ができるという触れ込みだった。学校からの案内文には「子どもたちの好奇心を刺激する貴重な機会」と記載されており、多くの保護者が申し込んだ。

「学校が公式に案内していたので、安心して申し込みました」と参加した保護者の一人は語る。しかし、イベント当日、会場に到着した保護者たちは仰天した。宣伝されていた科学実験の設備はほとんどなく、代わりに質の低い粗製濫造の工作キットが配布されただけだったという。

問題はその後さらに深刻化した。参加費の返金を求める保護者たちに対し、学校側は「当校はあくまで会場を提供しただけ」と回答。一方、イベントを実際に運営したとされる業者は連絡が取れない状態に陥った。

教育問題に詳しい弁護士・田中浩一氏はこう指摘する。「学校名を利用した詐欺的なケースも考えられます。保護者は学校を信用して申し込んでいるわけですから、学校側にも一定の責任が生じる可能性があります」

さらに悪いことに、イベント申し込み時に提出した個人情報が悪用されるのではないかという不安が広がっている。参加者にはクレジットカード情報や住所、子どもの氏名まで詳細な情報の提供が求められていた。

サイバーセキュリティ専門家の佐藤美香氏は警告する。「このような未確認の業者に個人情報を渡すのは極めて危険です。すでに他の参加者から不正利用の報告が上がっているとの情報もあります」

SNS上では「学校ぐるみの詐欺だ」「子どもの情報が盗まれるかもしれない」といった怒りの声が相次いでいる。ある保護者は「もうこの学校には子どもを通わせたくない」とまで口にした。

教育委員会は事態を重く見て調査に乗り出したが、イベント主催者の実態は依然として謎に包まれたままだ。関係者によれば、同じような手口で他の学校にも接触を図っていた可能性があるという。

教育行政に詳しい東京大学の山本教授は今回の事件について、「学校の善意を悪用した巧妙な手口」と分析する。「教育現場は外部との連携を求められる一方で、業者選定のノウハウが不足している。今回の事例は氷山の一角かもしれません」

さらに山本教授は、こうしたトラブルが子どもたちに与える心理的影響を懸念している。「大人への信頼が揺らぐことで、学習意欲の低下や社会不信につながりかねません」

実は同様の事件は全国で散発的に報告されている。共通点は、すべて公立学校で、比較的新しいテクノロジーを題材にしたイベントであることだ。専門家は、以下の点を確認するよう呼びかけている：

今回の事件は、教育現場における外部業者との連携の危うさを浮き彫りにした。子どもたちのためを思って企画されたはずの催しが、逆に教育への信頼を損なう結果となってしまったのである。

学校関係者は「二度とこのようなことが起きないよう、厳重に対策を講じたい」とコメントしているが、すでに傷ついた信頼を回復するには長い時間がかかりそうだ。