富山湾でシロエビ激減 海中の現象

富山湾でシロエビ激減 海底で異変が進行中…専門家「このままでは生態系が崩壊する」

富山湾でシロエビ激減 海底で異変が進行中…専門家「このままでは生態系が崩壊する」

富山県を代表する海の幸「シロエビ」が、この1年で急激に減少している。地元漁師たちは「過去最悪の不漁」と嘆き、専門家の間では海底で何らかの異変が起きている可能性が指摘されている。さらに恐ろしいのは、シロエビの減少が富山湾全体の生態系に連鎖反応を引き起こす「最悪のシナリオ」が現実味を帯びてきたことだ。

「獲れない…まるで消えたようだ」漁師の悲痛な声

「30年やってきたが、こんなことは初めてだ」。富山湾でシロエビ漁を営む男性(58)は憔悴した面持ちで語る。例年なら1日で100kg以上水揚げできる時期なのに、今は10kgにも満たない日が続いているという。

富山県水産研究所のデータによると、今年のシロエビの漁獲量は過去5年平均のわずか17%にまで落ち込んでいる。特に水深200m以深の海域での減少が顕著で、一部区域ではほぼゼロに近い状態が続いている。

海底で何が?専門家が指摘する「3つの異常」

海洋生物学者の田中浩一郎教授(富山海洋大学)は、潜水調査で得た衝撃的な事実を明かす。

「海底で明らかな環境変化が起きています。まず水温が例年より2~3度高く、酸素濃度も低下。さらに、シロエビの生息域に未知の微生物が大量発生しているのが確認されました。これらが複合的に影響している可能性があります」

さらに懸念されるのは、シロエビを主食とする大型魚類の動向だ。富山湾特産のブリやホタルイカまでもが不漁となっており、食物連鎖の上位にまで影響が及んでいる証拠だと専門家は指摘する。

「静かなるカタストロフィ」が進行中?

環境省の匿名を条件に語った関係者は、より深刻な見解を示す。

「これは単なる不漁問題ではありません。海底堆積物の分析から、重金属濃度の上昇も確認されています。もしこれが海洋深層水の循環異常と関連しているなら、日本海全域に影響が及ぶ可能性すらあります」

地元では「シロエビが消えた年は大地震が起きる」という古老の言い伝えもあり、一部の住民の間では不安が広がっている。科学的根拠は薄いものの、過去の記録を調べると確かにシロエビ不漁の数年後に能登半島沖で大地震が発生した事例が複数確認できる。

経済的打撃だけではない、文化の危機

シロエビは富山の食文化に深く根付いている。地元料理店の女将(62)は「もうシロエビ寿司が出せないかもしれない」と涙ながらに語る。観光業への影響も計り知れず、県の推計では関連損失額が年間50億円に上る可能性があるという。

富山県は緊急対策チームを設置し、原因究明に乗り出した。しかし、田中教授は警告する。

「この現象はおそらく人間活動が引き金となった環境変化の一端です。もし根本原因を特定できなければ、富山湾はもとより日本海全体が『死の海』と化すシナリオも否定できません」

シロエビの減少は、単なる地域の問題ではなく、海洋環境異変の「カナリア」なのかもしれない。専門家たちは今、静かに進行するカタストロフィの可能性に戦慄している。

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