「AI生成の志望理由書」が大学入試を侵食…審査官も見抜けない“完璧な嘘”の恐怖
2024年度の大学入試で、ChatGPTなどの生成AIで作成された志望理由書が急増していることが関係者への取材で判明した。ある国立大学の教授は「審査段階で明らかにAI生成と分かる文章が全体の3割に達した」と衝撃の事実を明かす。教育現場は「AI不正」の波にどう立ち向かうのか――。
「5分で完成」SNSで広がる危険なノウハウ
「志望理由書 ChatGPT テンプレート」といった検索キーワードが若者の間で急増中だ。某掲示板には「東大合格レベルの志望理由書をAIで生成する方法」というスレッドが1日で500件以上のレスポンスを集めている。
「プロンプトを工夫すれば、大学教授も騙せるレベルが簡単に作れます。実際にこれで早稲田に合格しました」(匿名の受験生)
教育ジャーナリストの田中浩二氏はこう警鐘を鳴らす。
「問題は、AIが生成する文章が人間の書いたものより論理的で’完璧’に見えることです。特に帰国子女や特別な事情のある学生の作文までAIが代行すると、審査官は真偽の判断が不可能になります」
大学側の対応とその闇
東京大学をはじめとする難関校では、2025年度入試から「AI生成検知ソフト」の導入を検討している。しかし、AI検知の専門家・山本真理子教授はその効果に懐疑的だ。
「現時点でAI生成文を95%以上の精度で検知できる技術は存在しません。むしろ、人間の書いた文章を誤検知するリスクの方が深刻です。この技術的限界が’AI不正’を助長しています」
さらに恐ろしいのは、AIが「個性」まで偽装し始めたことだ。ある私立大学の入学担当者は匿名を条件にこう打ち明ける。
「先日、感動的な障害克服体験を綴った志望理由書がありました。しかし面接でその話題を振ると、受験生は全く理解していない様子だった…後で調べると、その体験談は全てAIの創作だったのです」
教育の根幹を揺るがす危機
心理学者の佐藤健一教授は、この現象がもたらす長期的な悪影響を指摘する。
「自己分析をAIに委ねることで、若者は自己認識能力そのものを失いつつあります。ある調査では、AIを頻繁に使う学生の78%が『自分が何を考えているか分からない』と回答しています。これは人格形成上の危機です」
文部科学省は「AI利用のガイドライン策定」を進めているが、技術の進化スピードに対応できていないのが現状だ。早稲田大学の教授は匿名でこう語る。
「もはや志望理由書という制度そのものが形骸化しています。2026年度には完全廃止を含む抜本的な入試改革が必要かもしれません」
「AI依存」が生む未来の恐怖
あるIT企業の内部資料によれば、教育用AIの利用者は毎月20%以上のペースで増加している。しかし、その陰で恐ろしい事件も発生している。
先月、某予備校で「AIが生成した虚構のトラウマ体験」を自分の記憶と錯覚した受験生が精神科に救急搬送される事例が報告された。精神科医の小林麻衣子氏はこう警告する。
「AIが生成する物語に没入することで、現実と虚構の区別がつかなくなる『AI依存症』が急増しています。特に多感な10代の脳には深刻な影響を与えます」
教育のデジタル化が進む一方で、私たちは「人間らしさ」をどこまでAIに譲り渡すべきなのか。大学入試の現場で今、静かなる戦いが繰り広げられている。
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