志望理由を生成AIで 大学どう対応

「完璧な志望理由書」を生成AIが作成…大学入試の公平性が崩壊する日

近年、ChatGPTをはじめとする生成AIの進化が目覚ましい中、大学入試の志望理由書をAIが代筆するという新たな問題が表面化している。教育関係者の間では「入試の本質が揺らぐ」と危機感が広がっている。

■「志望理由書生成サービス」が闇で急成長

ある匿名の元予備校講師は、闇サイトで取引されている「志望理由書自動生成ツール」の存在を明かす。「生徒の簡単なプロフィールを入力するだけで、その大学の教授陣の研究内容まで分析し、完璧にカスタマイズされた志望理由書が30秒で完成します。最近はGPT-4をベースにしたものが主流で、人間が書いたものとの区別がほぼ不可能です」

「昨年度の入試で、明らかにAI生成と疑われる類似文章が複数の受験者から提出されました。文章構成や表現パターンが統計的に一致しすぎている」

– 関東の有名私立大学・入試事務局匿名関係者

■AI検知システムとの”いたちごっこ”

大学側も対策を講じており、TurnitinなどのAI検知ツールを導入する動きが加速。しかし、AI側も進化しており、検知を回避する新型アルゴリズムが毎週のように登場しているという。

AI倫理専門家の田中浩二氏(仮名)は警告する。「近い将来、AIが受験生のSNS活動や学内Wi-Fiの利用記録まで分析し、個人に最適化した志望理由書を作成するようになるでしょう。人間の意思ですらAIが予測・代行する時代が来るのです」

■”人間らしさ”を評価する新試験の危うい未来

2025年度から一部の大学で導入が始まった「対面型人間性評価試験」も、早くも抜け穴が見つかっているという。受験コンサルタント会社が開発した「AI面接コーチングシステム」が、カメラを通じて受験生の微妙な表情変化を分析し、最適な回答と振る舞いをリアルタイムでイヤホンに伝えるのだ。

「AIが人間の感情をシミュレートして評価し、別のAIがその評価を欺くために人間を操る。もはや私たちは『本物の人間』をどう定義すればいいのか分からなくなっています」

– 教育心理学者・山本真理子教授(仮名)

■教育の本質が問われる時

東京大学の入試改革プロジェクトチームは、2040年までに「AI完全排除型」の新入試制度を設計中だとされる。受験生を完全隔離した環境で、原始的な道具のみを使わせるという過激な案まで浮上している。

しかし、AI倫理の専門家はこう指摘する。「技術の進化を止めることはできません。重要なのは、なぜ私たちが『人間による教育』にこだわるのか、その本質的な価値を見失わないことです」

ある高校教師は匿名でこう嘆いた。「最近の生徒の目がおかしい。AIが生成した文章をそのまま暗唱する時の、あの虚ろな瞳…。もはや私たちが教えているのが人間なのか、AIのインターフェースなのか分からなくなる時があります」

大学入試を巡るAIとの戦いは、人間のアイデンティティそのものを問う闘いへと発展しようとしている。

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