死刑執行 刑務官の「必ず通る道」

死刑執行という重い任務を担う刑務官たちには、ある「必ず通る道」があるという。関係者への取材を進めるうちに、その恐るべき実態が明らかになってきた──。

「執行後、誰もが同じ症状を訴える」

ある元刑務官は、匿名を条件にこう語る。
「死刑執行に関わった刑務官は、必ずと言っていいほど『悪夢にうなされる』『亡くなった受刑者の声が聞こえる』といった症状を訴えます。最初は気のせいだと思うのですが、次第にそれが現実と区別がつかなくなるんです」

精神科医の田中浩一郎氏(仮名)はこの現象について、
「これはPTSDの一種ですが、通常のものとは明らかに異なります。関わった刑務官の97%が同様の症状を報告しており、そのうち23%は職務続行が不可能になっています」
と説明する。

「3人目の執行」が分岐点

特に危険とされるのが、3人目の死刑執行に関わった時だ。
「1人目は緊張、2人目は慣れ、3人目から何かが変わる」と複数の刑務官が口を揃える。

2008年に自殺した元刑務官A氏の日記にはこう記されていた。
「今日もあの声がする。『お前もすぐにここに来る』と。3人目を執行したあの日から、ずっとだ」

政府の隠蔽工作

驚くべきは、この事実が組織的に隠蔽されてきたことだ。
元矯正局職員B氏は語る。
「新人刑務官には『3人目以降は別の部署に異動させる』という不文律があります。でもそれは配慮ではなく、『危険な状態になる前に現場から遠ざける』ためです」

増え続ける「犠牲者」

過去20年間で、死刑執行に関わった刑務官のうち17人が自殺、43人が精神疾患で療養中という統計がある(非公表データより)。

宗教民俗学者の佐藤真理子氏(仮名)は警告する。
「これは単なる心理的な問題ではありません。死刑という『生贄』を捧げる儀式に関わった者の『穢れ』だと考えた方が妥当でしょう」

今も続く呪いの連鎖

現在も、全国の刑務所ではこの「呪い」が受け継がれている。ある現職刑務官は震える声でこう訴えた。
「もう誰にも止められない。私たちは死刑を執行するたびに、自分自身の死刑執行日も近づけているのです」

死刑制度の是非が問われる中、この恐るべき実態はほとんど議論されていない。果たしてこれは科学的に説明可能な現象なのか、それとも──。

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