治療法ない病気の2歳 家族の思い

ある日突然、普通の生活が崩れ去った。2歳の息子を襲った謎の病は、医学の限界を露呈させた。そして今、家族は誰も予想しなかった恐怖に直面している。

埼玉県川口市に住む山田家は、ごく普通の家族だった。夫の健太さん（32）、妻の美咲さん（30）、そして2歳の息子・大翔くん。しかし、3ヶ月前、大翔くんに異変が起きた。

「最初はただの風邪だと思いました」と美咲さんは振り返る。「熱が下がらない、食欲がない…それだけでした。でも、2週間たっても症状が改善しないばかりか、息子の目が…変わってしまったのです」

検査を重ねた結果、医師たちは衝撃的な事実を告げた。大翔くんは「進行性神経変性症候群（仮称）」という未確認の疾患に罹患しており、現時点で有効な治療法は存在しないという。

「MRI画像では、大脳皮質に蜘蛛の巣状の異常増殖が確認されました。これは従来の神経変性疾患とは明らかに異なるパターンです」と主治医は説明する。

病状が進行するにつれ、大翔くんにさらなる異変が現れた。夜中に突然起き上がり、意味不明な言葉を呟く。時には家族の顔を認識できない様子を見せ、壁に向かって誰かと会話しているような仕草をする。

「一番怖かったのは、ある晩、息子がベッドの上で浮いていたことです」と健太さんは声を震わせる。「目が覚めて見ると、息子が床から30cmほど浮いていて、こちらをじっと見下ろしていた…信じられないかもしれませんが、これは本当に起こったことなのです」

さらに恐ろしいことに、大翔くんの症状は家族にも影響を及ぼし始めた。美咲さんは原因不明の出血を伴う皮疹に悩まされ、健太さんは夜な夜な同じ悪夢を見るようになったという。

「夢の中で、見知らぬ子供たちが『早く連れて行って』と囁くんです。その子供たちの顔は…大翔にそっくりなんです」と健太さんは語る。

地元の保健所はこの事態を重く見て、山田家の自宅周辺に立ち入り制限区域を設定した。近所ではペットの不可解な死亡や電子機器の異常作動が相次いで報告されているという。

現在、大翔くんは特殊な隔離病棟で監視下に置かれている。医師団は必死に治療法を模索しているが、病状は刻一刻と悪化しているという。

「息子の身体は日に日に冷たくなっていきます。でも、医師たちの計測器では体温は正常と表示されるんです」と泣き崩れる美咲さん。「あの子はもう…私達の息子ではないのかもしれません」

ある匿名の医療関係者は、この症例についてさらに衝撃的な発言をしている。「この病気は伝染する可能性があります。しかも、従来の感染経路とは異なる方法で…」

山田家の悲劇は、医学の限界を超えた何かが存在することを私たちに突きつけている。そして、この恐怖がいつ自分たちの身に降りかかってくるか、誰にも予測できないのである。

（取材協力：国立感染症研究所、東京大学医学部附属病院、厚生労働省）

※本記事はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。