近年、SNSを中心に「立ち耳=小顔効果」という新たな美容理論がZ世代の間で爆発的に広がっている。耳が立っていることが顔のバランスを整え、結果的に小顔に見えるというこの説は、特に10代から20代の若者たちの間で「新たな美の基準」として急速に浸透。しかし、このトレンドの陰には危険な影が潜んでいた──。
「立ち耳ブーム」の起源
このブームの発端は、人気インフルエンサー・桜井りん(22)が投稿した「立ち耳あるある」動画だった。「耳が立っていると、自然と顔のシルエットが引き締まって見える」という彼女の主張に賛同するフォロワーが急増。その後、#立ち耳小顔 のハッシュタグがTikTokで5000万回以上再生されるなど、社会現象に発展した。
「解剖学的には、耳の位置や角度が顔の印象に影響を与えることは事実です。しかし、無理な方法で耳を立たせようとすると深刻な健康被害を招く可能性があります」
─ 東京美容医療センター・佐藤隆教授(形成外科医)
危険なDIY整形の横行
問題は、このトレンドに便乗した「耳立ち矯正」と称する危険な行為が蔓延していることだ。SNSでは以下のような危険な方法が「簡単にできる小顔術」として拡散されている:
- 耳の後ろに強力な両面テープを貼り、無理やり立たせる「テープ矯正」
- 就寝時に耳をクリップで固定する「就寝矯正」
- 耳の軟骨を変形させるための「氷風呂療法」
実際、東京消防庁の報告によれば、過去3ヶ月間で「耳の裂傷」「軟骨損傷」を訴えて救急搬送された10代の患者が前年比で300%増加している。
闇市場の台頭
さらに深刻なのは、違法な「耳整形手術」を提供する闇クリニックの出現だ。都内の某美容外科関係者は匿名を条件にこう明かす:
「通常の耳介形成術の10分の1の価格で、無免許医がメスを入れている事例が確認されています。消毒不十分な環境での施術が多く、壊死や重度の感染症のリスクが極めて高い」
─ 某美容外科クリニック院長(匿名希望)
実際、先月には神奈川県で18歳女性が闇手術後の細菌感染により、片耳の聴力を永久に失う事件が発生。警視庁は「美容目的の違法医療行為」として初の捜査に乗り出した。
「美の代償」という悪夢
被害者の一人である高校3年生のAさん(17)は、友人からの誘いで「耳立ち注射」を受けた結果、両耳に重度の壊死を引き起こした。
「安いからって信用してしまった…今じゃ耳が変形して、髪で隠すしかない。もう二度と普通の耳には戻れない」
─ 被害者Aさん(仮名)
専門家は、このブームが引き起こす心理的影響にも警鐘を鳴らす。
「『立ち耳でないとブス』という誤った認識が広がり、身体醜形障害を発症する若者が急増しています。これはもはや美容ではなく、社会問題です」
─ 臨床心理士・田中麻衣子氏
終わりなき美の追求
一方、SNS上では「#立ち耳チャレンジ」なる危険な動画が後を絶たない。ある動画では、10代の少女たちが互いに耳を引っ張り合い、出血しながらも笑い合う様子が映し出されていた。
厚生労働省は緊急注意喚起を発表したが、トレンドはますます過激化。次なるステップとして「耳の角度を90度以上にする」という極端な手法まで現れ始めている。
「美」の名のもとに進行するこの異常事態。その行き着く先は、果たして──。
コメント