米刑務所 トイレ外され10人が脱獄

米刑務所 トイレ外され10人が脱獄
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アメリカ・テキサス州にある刑務所で、未曽有の脱獄事件が発生した。収容者が共同トイレを壁ごと外すという前代未聞の方法で脱出し、10名が現在も行方不明となっている。当局は「極めて危険な犯罪者たちが社会に潜んでいる」と警告し、住民に警戒を呼びかけている。

「トイレごと壁を破壊」という大胆な手口

事件が起きたのは、テキサス州の「ハイセキュリティ刑務所」とされるブラックウッド矯正施設。今月15日深夜、収容棟の共同トイレが壁ごと外されているのが警備員によって発見された。調べによると、収容者たちは何らかの工具を使ってトイレの配管を切断し、壁のコンクリートを破壊。わずか60cm四方の穴から脱出したという。

「こんな脱獄方法は見たことがない」と語るのは、刑務所の元警備部長で現在は保安コンサルタントを務めるジェイク・モーガン氏だ。「トイレは監視カメラの死角であり、音も水音でかき消せる。完璧な盲点をつかれた」

脱走犯の危険性

脱走した10名のうち、6名は殺人や強盗などの凶悪犯で、特にリーダー格とされるマルコ・サラザール(37)はギャング組織の元幹部で、複数の殺傷事件に関与している。

FBIの特別捜査官、リサ・グレイ氏は「これらの男たちは極めて危険で、社会に大きな脅威を与える」と緊急会見で述べた。「過去に看守への暴力事件も起きており、一般市民に対してもためらうことなく危害を加える可能性が高い」

地域住民の恐怖

刑務所から半径50km圏内の住民には、夜間の外出自粛要請が出されている。地元スーパーマーケットの店主(45)は「店に武器を持った男たちが押し入ったという噂が広まり、誰も買い物に来なくなった」と不安を口にする。

さらに不気味なのは、脱走直後に刑務所近くのガソリンスタンドから軽トラックが盗まれた事件だ。警察は「犯行グループの仕業だろう」と見ており、車両の行方は依然としてわかっていない。

専門家が指摘する「刑務所設計の致命的欠陥」

刑務所設計の専門家であるドクター・アラン・フィッツジェラルドは、今回の事件について「トイレの位置が外壁に近すぎるという設計ミスが招いた人災だ」と指摘する。「多くの刑務所ではトイレを建物の中心部に配置するが、ここではコスト削減のため外壁際に設置されていた。結果として脱獄を容易にしてしまった」

さらに驚くべきことに、この刑務所では過去3年間で警備システムの更新が先送りにされており、老朽化した監視カメラの半数が実際には作動していなかったという内部告発も出ている。

「第二の事件」を懸念する声

犯罪心理学者のドナ・ウィルコックス教授は「脱走犯たちはおそらく事前に綿密な計画を練っていた」と分析する。「この手口を使えば、彼らは他の刑務所でも同様の脱獄を助長する可能性がある。特に刑務所職員を脅迫して内部協力者を作り出す危険性が高い」

実際、事件後すでに複数の州の刑務所で警備体制の見直しが急ピッチで進められているが、「手遅れになる可能性がある」(ウィルコックス教授)との見方も強い。

増える不安と疑問

今回の事件は、アメリカの刑務所システム全体に大きな疑問を投げかけている。なぜこれほどの凶悪犯が比較的警備レベルの低い施設に収容されていたのか? 予算削減が安全を犠牲にしていたのではないか?

ある匿名の刑務所関係者は「この10年間で矯正施設の予算は30%も削減されている」と内部事情を明かす。「警備員の数は不足し、設備の更新もままならない。今回の事件は必然だったかもしれない」

現在、FBIを中心に大規模な捜査が行われているが、脱走犯たちの足取りは依然としてつかめていない。地元住民はもちろん、全米が不安な日々を過ごしている。

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