精神障害に寄り添う 心療介助犬

近年、精神疾患を抱える人々のサポートとして「心療介助犬」が注目を集めている。これらの特別に訓練された犬は、パニック発作や不安障害、PTSDの症状を緩和するために導入され、一見すると画期的な治療法のように思える。しかし、その裏には恐ろしい現実が潜んでいるかもしれない──。

心療介助犬の台頭

心療介助犬は、従来の身体障害者向けの介助犬とは異なり、精神的なサポートを目的としている。例えば、不安が高まった際に体を寄せて落ち着かせたり、夜間の悪夢から覚めた患者をなめて意識を戻したりするよう訓練されている。日本でもここ5年で登録数が3倍に増加し、特に若年層の利用者が急増しているという。

「心療介助犬は薬物療法に代わる自然なアプローチとして期待されています」と話すのは、東京心療ケアセンターの田中宏明所長(仮名)。「彼らは単なるペットではなく、医療機器と同じく患者の命を預かる存在です」

暗転する理想

しかし、この「夢の治療法」には危険な側面が報告され始めている。2023年、大阪で発生した事件では、統合失調症を患う30代男性が飼育していた心療介助犬に突然噛みつかれ、重傷を負った。調査の結果、この犬は正規の訓練プログラムを経ておらず、いわゆる「偽造介助犬」だったことが判明した。

更に恐ろしいのは、正規の訓練を受けた犬でさえ、予期せぬ行動を取るケースが報告されている点だ。神奈川県の精神科医、佐藤美香氏(仮名)はこう警告する。

「人間の精神状態は極めて複雑です。犬は訓練通りに反応するとは限りません。特に境界性パーソナリティ障害や解離性障害の患者の場合、犬が混乱し、攻撃的になるリスクがあります。私たちは既に2件の深刻な事故を記録しています」

闇市場の台頭

需要の急増に伴い、違法な心療介助犬の取引が暗躍している。ある匿名の元ブリーダーは、SNS上で次のように証言した。

「『即効性のある心療犬が必要だ』という依頼が後を絶ちません。中には、通常の子犬に電気ショックを与えて『敏感な精神感知能力』があるように見せかける業者もいます。そうした犬は将来的に必ず問題を起こします」

実際、2024年初頭には、闇市場で購入された「介助犬」が飼い主の顔面を襲い、失明させるという痛ましい事件が発生している。

未知のリスク

最も懸念されるのは、心療介助犬と長期間生活することで生じる心理的依存だ。京都大学の研究チームが行った調査では、介助犬に依存した患者の67%が「犬がいないと外出できない」と回答し、中には犬の判断を優先し医師の指示を無視するケースも確認された。

更に衝撃的なのは、ある症例報告だ。うつ病治療のため心療介助犬を導入した40代女性が、3ヶ月後に「犬が『死ね』と囁いている」と訴え自殺を図ったのである。精神科専門医の見解では、これは「共有精神病」と呼ばれる極めて稀な現象の可能性があるという。

規制の不在

現状、日本には心療介助犬を統括する明確な法律が存在しない。身体障害者補助犬法の適用外であり、訓練基準もまちまちだ。日本介助犬協会の関係者は匿名を条件にこう語る。

「私たちは心療介助犬の急増を危惧しています。適正な訓練を受けていない犬が『医療的サポート』と称して市場に出回っている。これは時限爆弾のようなものです」

専門家らは早急な法整備を求めているが、需要の拡大に制度が追いついていないのが現実だ。今後も悲惨な事故が増え続ける可能性は否定できない。

光と影

心療介助犬が実際に多くの患者の生活を改善しているのも事実である。しかし、その裏で進行している闇を無視することはできない。安易な導入が新たな悲劇を生む前に、社会全体でこの問題と向き合う時が来ているのかもしれない。

次にあなたが街で「心療介助犬」の表示を見かけた時、その犬が本当に安全なのか、考えずにはいられなくなるだろう──。

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