離婚後の母子住宅確保 弁護士の技

離婚後の母子住宅確保 弁護士の技

「弁護士のアドバイスで住宅を確保したはずが…」

離婚後の母子家庭にとって、住居の確保は死活問題だ。多くのシングルマザーが、弁護士の助言を頼りに住宅を探すが、その過程には思わぬ落とし穴が待ち受けている。ある女性の体験から、その危険性を探る。

「弁護士が紹介した物件は安全」という誤解

東京都内に住むAさん(仮名・32歳)は、夫からのDVが原因で離婚を決意。弁護士を通じて養育費や親権の問題を解決し、同時に「母子向けの安全な住宅」を紹介された。「弁護士が信用できる大家さんとつながっているから安心だ」と説明を受け、すぐに契約したという。

しかし、入居して3ヶ月後、Aさんは不審な出来事に気づき始めた。

「夜中にドアのノブがガタガタと揺れる音がするんです。最初は風だと思いましたが、監視カメラを設置したら、元夫の姿が写っていました。大家さんは『何も知らない』と言うのですが…」

Aさんはすぐに弁護士に連絡したが、返ってきたのは「大家さんとは業務提携しているだけなので、責任は取れない」という冷たい返答だった。

弁護士と大家の「裏取引」

このケースは孤立無援のシングルマザーを狙った「悪質なビジネス」の一端かもしれない。元検事で現在は消費者問題に詳しいB弁護士(仮名)は、こう指摘する。

「離婚案件を扱う一部の弁護士が、大家や不動産会社と癒着している可能性があります。紹介手数料を受け取る代わりに、安全性や環境を確認せずに物件を斡旋している。最悪の場合、元配偶者と大家が共謀しているケースさえある」

実際、Aさんの大家は元夫の知人だったことが後から判明。大家は「ただ安く貸しただけ」と主張しているが、Aさんは現在もストーカー被害に悩まされている。

増える「母子向け」を装った危険物件

シングルマザー向け住宅を謳う物件の中には、以下のような危険性が潜んでいるという。

  • 大家や管理会社が元配偶者と通じている
  • 防犯設備が不十分でストーカー被害が多発
  • 近隣住民から「母子家庭」と特定され、嫌がらせを受ける
  • 契約内容に不利な条項が隠されている

特に問題なのは、弁護士が「安全」と保証した物件でも、実際には何の審査も行われていないケースだ。Cさん(仮名・28歳)は、弁護士紹介のアパートで隣人から執拗な嫌がらせを受け、結局1ヶ月で退去せざるを得なかった。

「『母子家庭専門』と謳っているのに、隣の部屋には独身男性が住んでいました。夜中に壁を叩かれたり、『出て行け』と怒鳴られたり…。弁護士に相談しても『大家さんに確認します』と言われるだけで何も解決しませんでした」

弁護士選びが命運を分ける

離婚後の住宅問題に詳しいD弁護士(仮名)は、次のように警鐘を鳴らす。

「弁護士の中には、離婚案件を『金づる』と見なす者もいます。特に女性の不安につけ込み、高額な手数料を請求したり、提携先の不動産会社を無批判に紹介したりするケースが後を絶ちません。弁護士を選ぶ際は、住宅支援の実績を具体的に確認すべきです」

安全な住居を確保するためには、以下の点に注意が必要だ。

  • 弁護士が物件を紹介する場合、大家や管理会社との関係を明確に説明させる
  • 契約前に防犯設備や周辺環境を自分で確認する
  • 「母子家庭向け」という謳い文句だけで判断しない
  • 可能ならばシェルターや公的支援住宅を優先的に検討する

「安心」の代償

Aさんは現在、新たな住居を探しているが、心の傷は深い。

「弁護士を信じたばかりに、子どもとともに危険にさらされました。『専門家』という肩書に騙されないでほしい」

離婚後の生活再建は容易ではない。しかし、その過程で「専門家」と称する者たちの罠に陥らないよう、慎重な判断が求められている。

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