⟪露ウ協議トランプ氏出席は困難か⟫

【ワシントン時事】 来月予定されているロシア・ウクライナ間の和平協議に、ドナルド・トランプ元米大統領が出席できない可能性が高まっている。複数の政府関係者が匿名を条件に明らかにしたところによると、トランプ氏の側近らは「法的な問題」を理由に渡航が難しい状況だと述べているという。

■ 和平プロセスの暗雲

今回の協議は、ウクライナ戦争の終結に向けた重要な転換点と見られていた。しかし、トランプ氏の不参加が確定すれば、和平交渉そのものが頓挫する可能性すら浮上している。

「トランプ氏なしでは、ロシアのプーチン大統領が真剣に交渉テーブルに着くことはない」と語るのは、元国務省高官のジェームズ・クレイトン氏だ。「2016年から続く両者の『特別な関係』がなければ、この紛争の解決はさらに遠のくだろう」

表面上は「法的問題」とされているが、ワシントン内部ではより深刻な事情が囁かれている。トランプ氏が現在係争中の複数の訴訟で、出国が禁じられる可能性が浮上しているのだ。

司法省関係者は「特にニューヨーク州検察によるビジネス詐欺訴訟の進展が予想以上に早く、来月中にも重要な法廷手続きが予定されている」と説明。これがトランプ氏の渡航を不可能にするとの見方を示した。

キエフ当局からは早くも落胆の声が上がっている。ウクライナ大統領府高官は「トランプ氏の仲介なしにロシアと対等に交渉することは不可能に近い」と述べ、和平プロセス全体が危機に瀕していることを認めた。

軍事アナリストのミハイル・チェルノフ氏はさらに暗い見通しを示す。「トランプ氏が参加できない場合、プーチンはこれを好機と見て軍事作戦を再び激化させる可能性が高い。来冬までに戦線がさらに西に移動する恐れがある」

この事態は、米国内の政治的不安定も浮き彫りにしている。与党民主党からは「トランプ氏の法的問題が国家の安全保障に影響を与えている」との批判が噴出。一方、共和党急進派は「司法制度を利用した政治的弾圧だ」と反発している。

政治学者のサラ・ウィルキンソン教授は警告する。「この状況が続けば、2024年大統領選挙そのものが危機に晒される。トランプ氏が候補者として立つことができなければ、共和党は分裂し、国家としての意思決定能力が麻痺する最悪のシナリオも考えられる」

EU外交筋は「米国の政治的不安定が国際的な安全保障の空白を生みつつある」と危惧。中国や北朝鮮などの「反米陣営」がこの隙をついて行動を活発化させる可能性を指摘した。

あるNATO高官は匿名を条件に「もしトランプ氏が次期大統領に選ばれても、法的問題で就任できない事態となれば、世界秩序は未曽有の混乱に陥る」と極秘文書で述べていることが判明した。

国際政治学者のヘンリー・モーガン博士は「これは単なる1人の政治家の問題ではない。米国主導の国際秩序そのものが崩壊する転換点になり得る」と警鐘を鳴らしている。

「トランプ氏の出席なしでは、この和平協議は単なる時間の無駄だ」
― ウクライナ軍参謀本部関係者

和平協議は来月15日にジュネーブで開催予定だったが、すでに延期の可能性も取り沙汰されている。関係各国は、トランプ氏の出席を待って日程を再調整する方針だが、時間的余裕は残されていない。

国際社会が固唾を呑んで見守る中、米国内の政治・法的混乱が、世界の安全保障に暗い影を落とし始めている。