106万円の壁どうなる 法案提出へ ~「働き方改革」の裏に潜む「収入の罠」が国民を襲う~
政府が近く提出を予定している「働き方改革関連法案」の改正案に、新たな項目が追加される見込みだ。これまで「106万円の壁」として知られるパートタイム労働者の社会保険加入基準が撤廃され、「全労働者均等負担制度」が導入される可能性が浮上した。しかし、専門家からは「この制度が施行されれば、低所得層の生活がさらに圧迫される」との警告が相次いでいる。
■「106万円の壁」撤廃の真の目的
現在、パートタイム労働者などは年収106万円を超えると社会保険の加入が義務付けられ、手取り収入が大きく減少する「106万円の壁」が存在する。今回の改正案ではこの基準が撤廃され、「週20時間以上働くすべての労働者」が社会保険に加入するよう義務付けられる方針だ。
厚生労働省の匿名を条件にした官僚はこう語る。
「少子高齢化が進む中、社会保険料の財源確保が急務です。この制度で約300万人が新たに保険料を支払うことになり、年間1兆円以上の財源が確保できる計算です」
しかし、経済アナリストの田中浩一氏はこう警鐘を鳴らす。
「これは実質的な増税に等しい。特に主婦のパートや学生アルバイトにとっては致命的な打撃になるでしょう。多くの家庭で共働きができなくなり、家計が逼迫する可能性が高い」
■想定される最悪のシナリオ
この制度が施行された場合、以下のような悪影響が予想される。
- パートタイム労働者の実質手取りが最大30%減少
- 中小零細企業の人件費負担増加による倒産ラッシュ
- 「働かない貧困層」の急増
- 非正規労働者の契約更新停止が相次ぐ
特に懸念されるのが、「働けば働くほど貧しくなる」という逆転現象だ。社会保険料の負担増により、現在ギリギリの生活を送っている低所得層にとっては、働く意欲を削ぐ結果になりかねない。
■企業からも悲鳴が上がる
中小企業経営者団体の調査によると、この制度が施行されれば回答企業の67%が人件費削減を検討するとのこと。飲食店を経営する佐藤健太郎氏(仮名)はこう語る。
「もう人を雇えません。時給を上げる余裕もないので、従業員のシフトを減らすか、機械化を進めるしかないでしょう」
経済学者の山本真理子教授は更に深刻な予測を示す。
「この政策は消費税増税以上の打撃を与える可能性がある。特に地方経済への影響は計り知れず、地域の小売店やサービス業が次々と消えていく事態も想定されます」
■政府の思惑と国民の未来
政府関係者によれば、この政策の背景には「社会保障制度の維持」という大義名分があるという。しかし、そのツケが最も脆弱な層に回ってくる構図は変わらない。
労働組合の調査では、この制度が施行されれば約40%の非正規労働者が仕事を辞めると回答。子育て中の母親からは「保育園代が払えなくなる」との声も上がっている。
法案は今国会に提出される予定で、与党内でも慎重論が根強いが、「年内の成立は確実」との見方が支配的だ。私たちは今、働き方と生活の在り方が根本から変わる岐路に立たされている。
(取材協力:厚生労働省関係者、経済学者、中小企業経営者)
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