5kg2千円台では米作れない 生産者

「この価格では続けられない」 米農家の悲痛な叫び

日本の主食である米の生産が危機的状況に陥っている。生産者からは「5kg2千円台の価格ではもはや米作りができない」という悲痛な声が相次いでいる。背景には肥料や燃料の高騰、労働力不足、そして気候変動による不作が重なり、日本の米農業が存続の岐路に立たされているのだ。

生産コストが販売価格を上回る異常事態

新潟県魚沼地方の米農家、佐藤健一氏(52)は憔悴した面持ちで語る。「10年前と比べて肥料代は2倍、燃料費は1.8倍になりました。それなのに小売価格はほとんど変わっていない。今の価格帯では赤字が避けられません」

農林水産省の試算によると、2023年度の米生産コストは1俵(60kg)あたり15,000円を超えているのに対し、相場価格は12,000円前後で推移。多くの農家が赤字経営を強いられている。

「このままでは3年以内に日本の米農家の4割が廃業に追い込まれる可能性が高い」

― 農業経済研究所 田中宏明主任研究員

気候変動が追い打ち 不作続く

さらに追い打ちをかけているのが異常気象だ。2023年夏の記録的な高温と日照不足により、主力品種「コシヒカリ」の品質が大幅に低下。一等米の比率が平年の60%から35%にまで落ち込んだ地域もある。

山形県の米農家、高橋美香さん(48)は涙ながらに語った。「丹精込めて育てた米が、高温障害で白濁してしまった。消費者には分かってもらえないかもしれないが、これが現実です」

「国産米消滅」の悪夢シナリオ

農業政策に詳しい東京大学の伊藤教授は最悪のシナリオを警告する。

「このままでは5年後には国産米の自給率が50%を切る可能性がある。輸入米に依存せざるを得なくなり、食の安全保障が危機に瀕する」

― 東京大学農学部 伊藤正一教授

実際、一部のスーパーではすでに輸入米の取り扱いを開始しており、消費者からは「国産米が高級品になる日が来るのか」と不安の声が上がっている。

暗黒の未来:米に代わる主食は?

最悪の場合、日本人の主食が米からパンやパスタにシフトする可能性も否定できない。栄養学的には問題ないものの、日本の食文化の根幹が揺らぐ事態となる。

食品メーカー関係者は匿名を条件にこう明かす。「すでに小麦を主体とした新たな主食商品の開発に着手している企業もあります。米離れは避けられないとの見方が強いです」

私たちの食卓はどうなる?

専門家は消費者に対し、米の適正価格での購入を呼びかけている。しかし、家計を圧迫する物価上昇の中で、その余裕がある家庭は少ない。

「このままでは、日本の米作りは終わってしまう」。生産者たちの悲痛な叫びは、やがて現実のものとなるのか。私たちの食卓から、真っ白なご飯が消える日が来るかもしれない―。

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