日本の主食である米が、存続の危機に瀕している。生産者からは「5kg2千円台の価格では米を作れない」という悲痛な声が上がり、業界関係者の間で暗澹たるムードが広がっている。このままでは、日本の食卓から米が消える日が来るかもしれない——。

生産コスト高騰で農家が離脱

近年、肥料や燃料、人件費の高騰が続き、米の生産コストは過去最高水準に達している。一方で、小売価格は長年のデフレの影響で低迷し、5kgあたり2千円台前半が相場となっている。

「この価格では赤字必至です。うちでも来年から作付け面積を半分に減らす予定です」と語るのは、新潟県で40年間米作りを続けてきた生産者・田中一郎氏（仮名）だ。「後継者もおらず、このままでは廃業する農家が続出するでしょう」と悲痛な表情で語った。

専門家「10年後には米の自給率が50%を切る可能性」

農業経済研究所の佐藤健二教授（仮名）は、この状況を深刻に受け止めている。

「現在の日本の米の自給率は約95%ですが、このままでは10年後には50%を切る可能性があります。輸入米に依存することになれば、価格はさらに高騰し、食の安全も脅かされるでしょう」

さらに佐藤教授は、米不足が引き起こす社会的影響について警鐘を鳴らす。

「米不足は単なる食糧問題ではありません。日本の食文化の根幹が揺らぎ、和食レストランの閉店が相次ぐなど、観光産業にも大打撃を与えます。最悪の場合、国家のアイデンティティー危機に発展する可能性すらあるのです」

暗黒シナリオ：米が庶民の手に届かなくなる日

最悪のシナリオとして専門家が懸念するのは、「米の超高級品化」だ。生産量が激減すれば、米は富裕層だけが手に入れられる食材となり、一般家庭の食卓から消える可能性がある。

ある匿名の卸売業者はこう語る。

「すでに特別栽培米などは5kgで1万円を超える商品も珍しくありません。この傾向が加速すれば、普通の白米でも同じような価格帯になるでしょう。米が『ぜいたく品』になる日が来るかもしれません」

政府の対応は遅れ、解決の糸口見えず

政府はこれまで、減反政策や補助金制度で米農家を支援してきた。しかし、これらの対策は根本的な解決には程遠いと批判の声が上がっている。

農業政策に詳しいジャーナリストの鈴木美香氏（仮名）は言う。

「現在の政策は対症療法に過ぎません。農業の大規模化やスマート農業の導入、付加価値向上など、抜本的な改革が必要です。しかし、時間がありません。あと5年も現状が続けば、日本の米農業は回復不能なダメージを受けるでしょう」

読者への問いかけ：あなたの米茶碗は大丈夫か？

この問題は他人事ではない。スーパーで当たり前に買えていた米が、近い将来、入手困難になるかもしれない——。日本の食文化の根幹を揺るがすこの危機に、私たちはどう向き合うべきなのか。今こそ真剣に考える時が来ている。

明日の朝食も、今日と同じように米が食べられる保証は、もうどこにもないのだ。