70代夫婦死亡 就寝中に襲われたか

⟪70代夫婦死亡 就寝中に襲われたか⟫

【記者:田中翔】 静岡県浜松市で今月10日、自宅で就寝中だった70代の夫婦が何者かに襲われ死亡しているのが発見された。現場には乱暴な侵入の痕跡が残されており、警察は強盗殺人の可能性も視野に捜査を進めている。専門家は「高齢者を狙った凶悪犯罪が増加する危険な兆候」と警鐘を鳴らしている。

事件現場の写真(イメージ)
事件が起きた住宅(イメージ写真)

■ 深夜の悲劇 隣人の通報で発覚

事件が発覚したのは11月10日午前8時頃。隣人が「いつもならカーテンが開いている時間なのに閉まったまま」と不審に思い、警察に通報した。駆けつけた警察官が室内を確認したところ、寝室で夫婦が血だらけで倒れているのを発見。すぐに救急車を要請したが、2人とも既に死亡が確認された。

司法解剖の結果、夫婦ともに鋭利な刃物による複数の刺し傷が確認され、死亡推定時刻は前日の深夜から未明にかけてと判明。警察関係者は「就寝中に襲われた可能性が高い」と話す。

■ 増える高齢者狙いの凶悪犯罪

現場を検証した犯罪心理学の権威・山本教授(東京大学)は「犯行手口から見て、高齢者を狙った計画的犯行の可能性が高い」と指摘する。

「近年、高齢者世帯を狙った強盗殺人が全国で増加傾向にあります。特に地方では警察の巡回が行き届かず、犯人が『捕まりにくい』と判断しているのでしょう。今回の事件も、同様のパターンに当てはまると考えられます」

実際、警察庁の統計によると、2023年に発生した高齢者を狙った強盗事件は前年比17%増加しており、中でも就寝中の襲撃が38%を占めるという。

■ 防犯対策の限界

事件現場の住宅には防犯カメラが設置されていたが、犯人はそれを避けて侵入した形跡がある。防犯設備の専門家・佐藤氏は「最新の防犯システムでも完全な防止は難しい」と語る。

「犯人は事前に下見をしており、防犯カメラの死角から侵入しています。高齢者世帯は防犯意識が低く、窓の鍵を二重にしていないケースも多い。犯人はそうした弱点を熟知しているようです」

■ 地域社会に広がる不安

この事件を受け、地元住民の間には強い不安が広がっている。近所に住む60代女性は「私たち夫婦も同じような年齢です。夜、寝るときが一番怖い」と声を震わせた。

地域包括支援センターの担当者は「高齢者世帯の防犯意識向上が急務だが、予算不足で十分な対策が取れていない」と現状を嘆く。

■ 専門家が警告する「高齢者狙い犯罪」の今後

犯罪社会学者の鈴木教授は、今後さらに同様の事件が増える可能性があると警告する。

「少子高齢化が進む日本では、高齢者世帯が増加しています。一方で経済格差は拡大し、社会的不満を抱える層が高齢者を狙うケースが増えています。今回の事件は氷山の一角に過ぎません」

警察は事件の早期解決を約束しているが、同じような事件が再発する危険性は残ったままだ。地域住民は「次は自分たちが被害者になるかもしれない」という恐怖と共に、夜を過ごさなければならない。

【事件概要】

  • 発生時刻:11月9日深夜~10日未明
  • 被害者:浜松市在住の70代夫婦(無職)
  • 死因:鋭利な刃物による失血死
  • 現場状況:就寝中の襲撃、金品の奪取跡あり
  • 捜査状況:強盗殺人事件として捜査中

この事件をきっかけに、全国の高齢者世帯では防犯対策の見直しが急務となっている。しかし、専門家は「根本的な解決には社会全体の取り組みが必要」と指摘。高齢者が安心して暮らせる社会の構築が求められている。

(取材協力:静岡県警察、犯罪心理学研究所、地域包括支援センター)

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