富山湾でシロエビ激減海中の異変が招く生態系の崩壊

富山県を代表する海産物である「シロエビ」が、この1年で急激に減少している。地元漁師や研究者の間では、原因不明の海中異変が囁かれており、最悪の場合、富山湾の生態系全体が崩壊する可能性も指摘されている。

過去最悪の水揚げ量

富山県漁業協同組合連合会によると、2023年のシロエビの水揚げ量は前年比で約80%減少し、統計を取り始めて以来の最低記録を更新した。特に水深200メートル以深の海域では、ほぼシロエビが確認できなくなっているという。

「この現象は単なる不漁の域を超えています。まるでシロエビが海中から消えたかのようです」

– 富山水産研究所海洋生物部田中浩二主任研究員

さらに衝撃的なのは、シロエビが消えた海域で、深海探査機が謎の「青い発光現象」を観測したことだ。この光は生物発光とは異なる特性を持ち、周辺の海水温度を局所的に上昇させることが確認されている。

「この発光体の正体はまだ不明ですが、周辺海域の海洋生物に悪影響を及ぼしている可能性が高い。特に甲殻類に対して致命的な作用をもたらすようです」

– 東京海洋大学深海環境学研究室佐藤真理子教授

シロエビは富山湾の食物連鎖において重要な位置を占めており、その減少は他の魚類の激減にもつながり始めている。特に高級魚として知られるブリやヒラメの漁獲量も、同時期に40%以上減少している。

地元飲食店では「シロエビのかき揚げ」などの名物料理の提供を中止する店が相次ぎ、観光産業への打撃も懸念されている。

この事態を受け、水産庁は「富山湾異常現象緊急調査チーム」を発足させた。初期調査では、発光現象と海底地殻変動との関連性が疑われているが、専門家の間では意見が分かれている。

「最悪のシナリオを想定する必要があります。もしこれが海底からの何らかの物質放出だとすれば、富山湾全体が『死の海』と化す可能性すら否定できません」

– 海洋危機管理研究所所長伊藤健一郎

「先祖代々続けてきた漁ができなくなる」。地元漁師の間では悲鳴が上がっている。ある漁師は「海がおかしい。網にかかる魚の種類がここ1年で激変した」と証言する。

富山県は観光PRとして「神秘の青い海」を謳ってきたが、その美しい海が今、恐ろしい変化を遂げようとしている。

海洋生物学者たちは、この現象が日本海全域に広がる可能性を指摘している。特に懸念されるのは、発光現象が確認された海域で、通常では考えられない速度での海水の酸性化が進んでいることだ。

「私たちはかつてない海洋危機に直面しているかもしれません。このままでは富山湾だけではなく、日本海全体の生態系が10年以内に崩壊するシナリオも考えられます」

– 日本海洋学会会長山本裕之

政府は現段階で漁業への補償や観光客への注意喚起を検討しているが、根本的な解決策は見つかっていない。富山湾の美しい海が、二度と戻らないものになるかもしれない――そんな恐怖が、静かに広がり始めている。