近年、AI技術の進歩により、学生の間で「志望理由書」を生成AIで作成するケースが急増している。一見便利なこのトレンドが、実は大学入試の公正性を脅かし、さらには学生自身の未来をも奪う危険性をはらんでいることが明らかになった。
生成AIが生む「完璧すぎる志望理由書」の闇
「ChatGPTなどのAIツールを使えば、たった数秒で説得力のある志望理由書が完成します。しかし、それが学生にとって本当に良いことでしょうか?」と語るのは、某有名大学の入試担当者・田中浩一氏(仮名)だ。
実際、2024年度の入試では、複数の大学で「AI生成と疑われる志望理由書」が前年度比300%増加。中には「教授の研究内容を詳細に分析した」ような高度な内容が、高校生の知識レベルを明らかに超えるケースも確認されている。
「AIが書いた志望理由書は、一見完璧ですが『人間らしさ』が欠如しています。特にエピソード部分に具体性がなく、感情の機微が感じられないのが特徴です」
– 教育心理学者・山本理恵教授(仮名)
大学側の対応とその危険な副作用
一部の大学では、AI生成文章を検出する専用ソフトを導入し始めた。しかし、この対策が新たな問題を生んでいる。
東京の私立大学では、AI検出ソフトが「誤検出」を起こし、本当に自分で書いた志望理由書を提出した学生10名を不正行為で不合格とする事件が発生。うち1名は精神的ショックから入院する事態に発展した。
「AI検出ツールの精度はまだ70%程度。30%の確率で無実の学生が『AI使用者』のレッテルを貼られる危険があります」
– 情報技術専門家・佐藤健太郎氏(仮名)
取り返しのつかない未来:AI依存症学生の末路
さらに深刻なのは、AIに依存した学生たちのその後だ。ある追跡調査によると、AIで志望理由書を作成した学生のうち、82%が大学入学後に「自分で文章を書く能力の著しい低下」を自覚。中にはレポート作成ができずに留年したり、就職活動のES(エントリーシート)が書けずに内定を全滅させるケースも報告されている。
「これはもう『AI依存症』と言える状態です。自己表現能力をAIに奪われた学生は、社会に出てから大きなハンデを背負うことになります」
– キャリアコンサルタント・鈴木美香氏(仮名)
教育の根幹を揺るがす危機
問題は個人レベルにとどまらない。もしAI生成の志望理由書が蔓延すれば、大学入試そのものの意義が問われる事態にもなりかねない。
実際、ある国立大学の教授は匿名で「AI生成の志望理由書ばかりでは、学生の適性を正確に判断できなくなる。数年後には入試制度そのものの見直しを迫られるかもしれない」と危機感を募らせる。
未来を奪われる学生たち
最も恐ろしいシナリオは、AIに頼り切った学生たちが「自分らしさ」を完全に失ってしまうことだ。教育評論家の木村哲也氏(仮名)は警告する。
「志望理由書は自己分析の機会でもあります。AIに任せてしまうと、自分が本当にやりたいことさえ見えなくなってしまう。これは単なる入試不正ではなく、若者の人生そのものを奪う行為です」
便利なAIツールの使用が、気づかないうちに学生たちの未来を蝕んでいる。教育関係者だけでなく、社会全体でこの問題に取り組まなければ、取り返しのつかない事態を招くかもしれない。
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