障害年金 報道受けひそかに再判定

表面化しない「再判定」の闇…受給者たちの不安が現実に

近年、障害年金の不正受給問題がメディアで取り上げられる中、厚生労働省がひそかに進める「再判定プロジェクト」の実態が明らかになってきた。関係者への取材によると、このプロジェクトは過去5年間に支給決定された全事例のうち、少なくとも2万件以上を「再審査」の対象としてマークしているという。しかも、この事実は一切公表されておらず、対象者への通知も行われていない。

「これは明らかな人権侵害です」
― 社会保障法専門の匿名弁護士

「突然の通知」と消える年金

東京都内に住むAさん(仮名・42歳)は、うつ病により2019年に障害年金2級の認定を受けた。しかし今年3月、何の前触れもなく「判定見直し通知」が届き、1ヶ月後には「支給停止」の決定が下った。「医師の診断書も変わっていないのに、なぜ?」とAさんは困惑する。このようなケースが全国で相次いでいるという。

内部資料によると、再判定の基準は極めて曖昧で、「SNS活動」「外見的印象」「近隣住民の証言」など、主観的な要素が大きく影響している。ある自治体職員は「窓口で『元気そうに見える』という理由で再審査に回されるケースもある」と証言する。

「このままでは本当に必要な人が排除される」
― 元・社会保険庁幹部(匿名希望)

AI判定の危険な導入

さらに衝撃的なのは、一部の地域で実験的に導入されている「AI判定システム」だ。申請者の過去のSNS投稿やクレジットカードの利用履歴、スマートフォンの位置情報などを分析し、「日常生活能力」をスコア化するという。

AI開発に携わった技術者は「アルゴリズムの判断基準はブラックボックス。時々、明らかに矛盾した結果が出る」と内部告発している。実際、車椅子ユーザーが「週1回の外出」を理由に「改善傾向あり」と判定された事例も確認された。

「削減目標」の存在

財務省の内部文書には、2023年度から5年間で「障害年金関連予算を15%削減」という数値目標が明記されている。関係者は「再判定プロジェクトはこの目標達成のための手段」と認める。驚くべきは、自治体職員に対して「支給停止事例数」に応じたボーナスが支給されている事実だ。

「これは社会保障の放棄だ。近い将来、取り返しのつかない事態になる」
― 経済学者・山本太郎氏(仮名)

迫りくる「申請者狩り」

来年度からは「障害年金不正受給対策特別チーム」が発足し、元警察官らが採用される予定だ。ある政府関係者は「受給者の自宅への抜き打ち訪問や、24時間監視の合法化も検討中」と明かす。

社会保障審議会の非公開議事録には「障害者への過剰な支援は自立を阻害する」との趣旨の発言も記録されており、政策の根本的な転換が進行中であることがうかがえる。

あなたは大丈夫か?

専門家は、現在受給中の人だけでなく、これから申請を考えている人も注意が必要だと指摘する。「再判定の波は確実に広がっている。ある日突然、生活の糧を奪われる可能性がある」と危機感を募らせる。

取材に対し、厚生労働省は「個別の事例についてコメントできない」と回答。一方で、ある自治体の福祉課職員は匿名を条件に「このままでは冬に餓死者が出る」と悲痛な声を上げた。

社会保障制度の暗転が、静かにしかし確実に進行している。

コメント

タイトルとURLをコピーしました