⟪備蓄米 4回目は10万トン放出へ⟫
政府が4回目となる備蓄米10万トンの放出を決定した背景に、食糧危機の深刻化が懸念されている。専門家からは「このペースで備蓄を切り崩せば、来年には国産米の在庫が底をつく」との警告が相次いでいる。

■「異常事態」と認めた農林水産省幹部
農林水産省の匿名を条件に取材に応じた幹部は、次のように語った。
「これまで3回で計30万トンを放出しましたが、市場の需要を満たせていない。4回目の放出は想定外の事態で、我々も危機感を強めています」
特に懸念されているのが、記録的な不作が続く主要産地の状況だ。山形県の米農家・佐藤健一氏(58)は憔悴した面持ちで語る。
「昨年は平年の6割収穫、今年はさらに悪化しています。高温と病害虫の複合被害で、収穫量ゼロの田んぼも少なくありません」
■専門家が指摘する「3つのリスク」
農業経済研究所の田中宏明主席研究員は、現在の状況について次の3点を指摘する。
- 備蓄枯渇リスク:国家備蓄米の安全ライン(50万トン)を下回る可能性
- 価格暴騰リスク:小売価格が現在の2倍に跳ね上がるシナリオ
- 輸入依存リスク:食糧安全保障上の重大な懸念材料
「特に問題なのは、備蓄放出が一時的な価格抑制にしかならない点です」と田中氏は指摘する。「根本的な供給不足を解決しない限り、年末にはさらに深刻な事態が予想されます」
■スーパーから米が消える日
首都圏のスーパーマーケットチェーンでは、すでに購入制限を導入している店舗が増加。あるチェーンのバイヤーは匿名で次のように語った。
「メーカーからの供給量が3割減。年末年始に向けて、店頭から米が消える可能性も否定できません」
「米不足はパニック買いを誘発しやすい。行政は早急に対策を講じるべきだ」
− 流通業界関係者
■輸入米に依存できない事情
国際情勢の悪化も追い打ちをかけている。主要輸出国であるタイとベトナムが自国優先政策を強化、日本向け輸出量を前年比40%削減すると通告してきた。
貿易問題に詳しいジャーナリストの鈴木香織氏は警鐘を鳴らす。
「世界的な食糧危機の兆候が見られる中、輸入に頼る戦略は限界です。国内生産基盤の崩壊がこの危機の根本原因です」
■「最悪のシナリオ」とは
経済安全保障の専門家・伊藤正敏教授(東京大学)が想定する最悪のケースは以下の通り。
- 2024年度末までに備蓄米が枯渇
- 小売価格が1kgあたり1,000円超へ
- 外食産業の米料理メニュー全面中止
- 社会不安の増大による治安悪化
伊藤教授は「これはもはや農業問題ではなく、国家危機管理の問題だ」と強調する。
■読者の反応
本記事の事前公開版に寄せられた反響の一部。
「実家が米農家ですが、祖父の代から続く田んぼを手放す決断をしました」(30代・男性)
「子供にご飯を食べさせられるか不安でたまりません」(40代・主婦)
■明日からできる対策
専門家が推奨する個人レベルの備え。
対策 | 具体的方法 |
---|---|
備蓄の見直し | 1人あたり10kg以上の米を確保 |
代替食の検討 | 雑穀やパスタなど米以外の主食 |
地元農家の支援 | 直接購入で生産基盤を維持 |
この危機的状況は、私たちの食生活の根本を揺るがす可能性を秘めている。政府の次なる発表に注目が集まる中、個人レベルでも備えを急ぐ必要があるだろう。
(取材協力:農林水産省関係者、農業経済研究所、東京大学 伊藤研究室)
※本記事は現時点での情報に基づいています。今後の状況変化に応じて追報する予定です。
コメント