⟪物流「2024年問題」どうなった? 現場は「地獄絵図」…専門家が警告する崩壊のシナリオ⟫
「もう限界です」——物流業界の現場から悲痛な声が続々と上がっている。2024年、かつて予測されていた「物流2024年問題」は現実のものとなり、日本全国で荷物の滞留・配送遅延・運賃高騰が日常化。専門家は「このままでは年末までに物流ネットワークの部分崩壊が起きる」と警鐘を鳴らしている。

■「3日配送」が「3週間」に…ECサイトから相次ぐ注文キャンセル
「注文した商品が届くまで21日かかった。生鮮食品はもちろん、日用品ですら届かない」。東京都内の主婦(42)はそう嘆く。主要ECサイトの到着予想日は軒並み「2〜3週間後」に後退。某大手通販プラットフォームでは、注文キャンセル率が前年比300%増という異常事態が発生している。
物流業界関係者は匿名を条件にこう明かす。
「ドライバー不足は予想以上に深刻です。2023年時点で8万人不足と言われていましたが、実際は12万人に達しています。ある地域では、トラックが倉庫前で3日待機しても荷物を積めない状況です」
■「月50万円」でも人が集まらない…業界の悪循環が加速
人材確保のために運送会社が提示する月給は最高50万円に達しているが、応募者は依然として少ない。某運送会社社長は顔を曇らせる。
「若い世代は過酷な労働環境を嫌がります。60代のベテランが中心ですが、連日の超過勤務で離職者が続出しています」
さらに悪いことに、燃料費高騰と保険料値上げが経営を圧迫。中小運送会社の倒産件数は今年に入り過去最多を更新し、地域によっては物流機能が麻痺している。
影響領域 | 具体的事例 |
---|---|
小売業 | スーパーの棚が空になる事態が頻発 |
製造業 | 部品不足による工場の一時停止 |
医療 | 地方病院で医薬品配送が遅延 |
■専門家が指摘する「最悪のシナリオ」
経済産業省の有識者会議で物流問題を研究する東京大学の山本敏夫教授(物流経済学)は、こう分析する。
「今年末の繁忙期にシステムが破綻する可能性が高い。特に危惧されるのは『荷受け停止の連鎖反応』です。一部の運送会社が荷物の受け取りを停止すると、他の会社に負荷が集中し、全体が雪崩式に機能停止に陥ります」
実際、某大手物流企業では7月から「荷物の選別」を開始。優先度の低い荷物は事実上受け付けていない状態だ。
■「2025年はもっと悪くなる」業界関係者の絶望的な声
日本物流団体連合会の内部資料によると、2025年には「物流料金の30%増」が避けられない見込み。ある幹部は匿名でこう語る。
「もはや値上げせざるを得ない。しかしそれでも人材不足は解消できず、悪循環から抜け出せません。政府の対策は全て後手に回っています」
消費者への影響は計り知れない。経済評論家の田中宏氏は警告する。
「物流コスト上昇は全ての商品価格に転嫁されます。来年には『物価高×品不足』という最悪のシナリオが現実化するでしょう」
「このままでは、日本中が『配送不能地域』になる」
― 某運送会社社長の悲痛な叫び
■個人でできる対策は?
専門家は以下の対策を推奨している:
- 生活必需品は2週間分を常備
- 医薬品は余裕を持って入手
- 重要な商品は実店舗で直接購入
- 配送期間に余裕を持った計画を
物流2024年問題はすでに「予測」から「現実」へと変貌した。この危機は今後さらに深刻化することが確実視されており、私たちの日常生活を根本から変える可能性すらある。政府と業界の早急な対応が求められるが、現状では有効な解決策が見えないまま、時間だけが過ぎていっている。
(取材協力:日本物流協会、経済産業省関係者、複数の運送会社幹部)
※本記事の内容は取材に基づいたものであり、特定の企業・団体を誹謗中傷する意図はありません
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