妻に義母の世話頼み浮気 介護離婚…その裏に潜む「介護殺人」の恐怖
「夫が浮気をしているのは知っていた。でも、義母の介護で手一杯で…」
神奈川県横浜市で起きた「介護離婚」事件が、思わぬ方向へと発展し、社会に衝撃を与えている。一見するとありふれた家庭問題に見えたこの事件には、恐ろしい真相が隠されていた。
「介護疲れ」が招いた悲劇
事件の主人公であるA子さん(仮名・42歳)は、5年間にわたって要介護状態の義母(当時78歳)の世話を一手に引き受けていた。夫のB男氏(仮名・45歳)は「仕事が忙しい」を理由にほとんど介護に関わらず、その間、複数の女性と不倫関係にあったという。
「最初は気づかなかったんです。でも、夜中にこっそり電話をしているのが不自然で…」とA子さんは語る。しかし、義母の介護に追われる日々の中で、夫の浮気を追求する余裕さえなかった。
状況が一変したのは、昨年12月のこと。義母が「誤嚥性肺炎」で緊急入院した際、B男氏が病院に一度も訪れなかったことが決定打となった。「これ以上無理だ」とA子さんは離婚を決意する。
事件はここからが本当の恐怖
離婚調停が始まって間もなく、恐ろしい事実が明らかになる。B男氏の不倫相手の一人が、実は介護施設の元職員で、A子さんの義母が以前入所していた施設のスタッフだったのだ。
さらに驚くべきことに、この女性は過去に「介護殺人」の疑いで書類送検された経歴があった。警察の調べによると、B男氏はこの女性から「義母がいなくなれば、介護のストレスから解放される」と唆されていた可能性が浮上している。
「これは単なる不倫問題ではなく、計画的な介護殺人未遂事件だった」と捜査関係者は語る。
専門家が指摘する「介護をめぐる犯罪」の増加
社会福祉学者のC教授はこの事件について次のように分析する。
「近年、介護をめぐる犯罪が増加しています。特に『介護疲れ』を利用した悪質なケースが目立ちます。配偶者が介護から逃れるために不倫を利用する、あるいは外部の人間が介護ストレスにつけ込んで犯罪を誘導する…この事件はその典型と言えるでしょう」
さらに恐ろしいのは、このような「介護をめぐる犯罪」が表面化しにくい点だ。家族の「介護疲れ」は周囲から理解されやすく、死亡時も「老衰」や「病死」として処理されることが多いため、犯罪が発覚する機会が極めて少ないという。
あなたの家庭は大丈夫? 介護殺人のサイン
このような悲劇を防ぐために、専門家は以下の「危険サイン」に注意を呼びかけている。
- 介護をしている配偶者が突然「介護が楽になった」と話す
- 要介護者の容体が急変することが増える
- 介護に関わらない配偶者が不審な行動をとる(夜中の外出、電話など)
- 介護施設のスタッフなどが家庭に頻繁に出入りする
「介護は時に人間の暗部をえぐり出す」と心理カウンセラーのD氏は語る。「愛する家族を守るためにも、介護の負担を一人で背負い込まず、必ず外部の支援を求めてほしい」
この事件をきっかけに、介護をめぐる犯罪の実態と、その防止策についての議論が高まっている。
コメント