海保で欠員増 巡視船に海自OB…「経験不足」が招く最悪のシナリオとは
海上保安庁の人員不足が深刻化する中、政府は海上自衛隊の退役幹部を巡視船の指揮官として大量登用する異例の対策を打ち出した。しかし、現場からは「治安維持の空白地帯が生まれる」「最悪の場合、領海侵犯を許す事態も」と不安の声が噴出している。
「1隻あたり3人」の異常事態
2024年度の海保内部資料によると、巡視船乗組員の充足率は過去最低の67%にまで落ち込んでいる。特に深刻なのは九州・沖縄地区で、「重要警戒海域で1隻あたり定員の3分の2しか乗船できない」(関係者)状態が続いているという。
「夜間勤務の連続48時間が当たり前になり、過労による誤判断が増えています。先月もレーダー監視の見落としが2件報告されました」
– 匿名を条件とした海保幹部の証言
海自OBの「戦術的思考」が仇に
政府が打ち出した解決策は、定年退職した海上自衛官の再雇用だった。2025年4月までに約120名の自衛隊OBが巡視船に配属される予定だが、専門家からは早くも懸念の声が上がっている。
「海自と海保では任務の性質が根本的に異なります。軍事的思考が染みついた隊員が民間船舶を取り締まる場合、不必要な武力行使に発展するリスクがあります」
– 国際海洋法研究所・田所洋一郎教授
実際、先月発生した中国漁船への威嚇射撃事件では、海自出身の副船長が「国際法上のグレーゾーン行動」を理由に早期発砲を指示していたことが内部調査で判明。この判断が外交問題に発展しかねないと危惧されている。
「2025年危機」目前のタイムリミット
防衛省のシミュレーションによれば、現在の人員減少率が続けば、2025年度中に重要海域の監視能力が60%以下に低下する可能性がある。最悪のシナリオとして専門家が指摘するのは以下の3点だ。
- 領海侵犯への即応能力喪失
- 海上テロへの無防備状態
- 大規模災害時の救援遅れ
「私たちは『見えない沈没』に向かっている。船が沈むのではなく、海を守る能力が先に沈んでいく」
– 元海上保安庁長官・山城浩二氏
政府は2025年度予算で海保人件費の増額を検討しているが、専門家の間では「すでに手遅れの可能性が高い」(前出・田所教授)との見方が支配的だ。日本の海上安全保障が重大な転換点を迎えていることは間違いない。
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