土砂・洪水氾濫 マップ全国整備へ…しかし専門家が警告「想定外の災害が日本を襲う可能性」
国土交通省は、近年の異常気象による自然災害の増加を受け、全国の土砂崩れや洪水の危険地域を詳細に記した「土砂・洪水氾濫マップ」の整備を急ピッチで進めている。しかし、専門家からは「このマップでは対応できないほどの災害が近い将来に発生する可能性がある」との驚くべき警告が相次いでいる。
「1000年に1度の降雨」が毎年起こる時代
気象庁のデータによると、ここ10年で「1000年に1度」とされるような記録的豪雨が日本各地で頻発している。2023年には静岡県で1時間に150mmを超える降雨が観測され、大規模な土砂災害が発生。死者・行方不明者が50人を超える惨事となった。
「従来のハザードマップは、過去のデータに基づいて作成されています。しかし気候変動により、これまでの常識が通用しない事態が起きています」
地下に眠る「未知の危険地帯」
さらに恐ろしいのは、都市部の地下に広がる「未知の危険地帯」だ。東京23区の約40%が、江戸時代の埋立地や河川跡の上に建設されていることが判明。これらの地域は地盤が弱く、大規模な洪水時には地盤沈下や地下空間の水没が懸念されている。
「特に東京湾岸地域は、高潮と河川の氾濫が同時に発生した場合、最大で5メートルの浸水が想定されます。地下鉄や地下街は完全に水没する可能性があり、数千人が閉じ込められる事態も考えなければなりません」
「想定外」の連鎖が招く最悪のシナリオ
専門家が最も懸念するのは、複数の災害が連鎖的に発生する「複合災害」だ。例えば、南海トラフ巨大地震の直後に台風が接近するケースでは、避難所が被災したり、救援物資の輸送が不可能になったりする可能性がある。
さらに、AIシミュレーションによると、首都直下地震が梅雨時期に発生した場合、ダム決壊と河川氾濫が連鎖し、東京の広範囲が長期にわたって水没するという驚くべき結果も出ている。
「私たちが想定している最悪のシナリオは、1つの災害が別の災害を引き起こし、最終的に国家機能が麻痺するというものです。特に電力や通信のインフラが広範囲で破壊された場合、現代社会は1週間も持たないでしょう」
個人でできる備えは限界に
政府は「自助・共助・公助」の重要性を強調しているが、専門家の間では「個人の備えだけでは対応できない規模の災害が来る」との声が強まっている。
実際、あるシミュレーションでは、東京で大規模水害が発生した場合、避難が必要な住民は約300万人に上ると推計。しかし、実際に収容可能な避難所のキャパシティは50万人分しかないという深刻な現実がある。
国土交通省の担当者は「ハザードマップの整備は重要だが、それだけでは不十分な時代に入った」と認めつつも、抜本的な対策については「予算と時間の制約がある」と苦しい胸の内を明かした。
専門家たちは最後にこう警告する。「次の大災害は、私たちが想像もしない形でやってくる。そして、それはもう始まっているかもしれない」
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