精神障害に寄り添う心療介助犬：その裏に潜む恐ろしい真実

2024年6月15日

記者：田中翔

近年、精神疾患を抱える患者のサポートとして「心療介助犬」が注目を集めている。一見すると穏やかで献身的なこれらの犬たちは、不安やパニック発作を和らげるため、世界中で導入が進められている。しかし、その裏側には誰も語ろうとしない暗い真実が潜んでいた──。

「奇跡の犬」と呼ばれたケース

東京都内の精神科クリニックで働く心療介助犬「ハナ」は、特に優れた能力を持つとしてメディアでも取り上げられた。統合失調症を患う患者のストレス反応を事前に察知し、発作を未然に防いだという記録が多数報告されていた。

「ハナは本当に特別な存在でした。患者さんの心の変化を、私たち医師よりも早く感じ取ることができたのです」

― 東京都心療内科医師・佐藤健一（仮名）

しかし、この「奇跡」には恐るべき代償が伴っていた。ハナと最も長い時間を共にしていた患者Aさん（32歳）は、ある朝、クリニックの庭で意識不明の状態で発見された。体には無数の咬傷跡が残っており、驚くべきことに、その歯型はハナのものと一致したのだ。

動物行動学の専門家である京都大学の伊藤教授（仮名）は、この事件について次のように分析する。

「介助犬は本来、冷静さと共感力のバランスが重要です。しかし、過度に訓練された犬は、飼い主の精神状態に『同化』してしまう危険性があります。特に境界性人格障害や統合失調症の患者と長時間接する場合、犬自身が精神的不安定に陥るケースが報告され始めています」

実際、事件後に行われたハナの脳スキャンでは、通常の介助犬には見られない異常な脳活動パターンが確認された。まるで、長期にわたって人間の精神疾患を「共有」していたかのような痕跡だったという。

実は、ハナの事件は孤立した事例ではない。過去3年間で、少なくとも17件の類似事例が全国で報告されている。

これらの事件には共通点があった。すべての犬が、最低でも2年間、精神疾患を抱える患者と24時間体制で生活していたのだ。

さらに衝撃的なのは、この問題がすでに10年前から専門家の間で警告されていたことだ。2014年、アメリカの研究チームが「精神疾患介助犬の長期暴露リスク」についての論文を発表していたが、業界団体の圧力で公表が差し止められていたことが判明した。

「私たちの研究では、2年を超えて精神疾患患者と生活した介助犬の68%に、攻撃性の増加や認知機能の低下が見られました。しかし、この結果は『介助犬産業に悪影響を与える』として封印されてしまったのです」

― 元研究員（匿名希望）

現在、厚生労働省は「心療介助犬の使用ガイドライン」の緊急見直しを進めているが、すでに多くの被害が発生している現実は変わらない。

心療介助犬は確かに多くの患者にとって大きな支えとなってきた。しかし、その代償として、無意識のうちに犬たちに過酷な精神的負担を強いている可能性が浮上した。

動物愛護団体「Paws for Thought」の代表はこう訴える。

「犬はロボットではありません。人間の複雑な精神状態に常に晒されることで、彼ら自身が壊れてしまう。この事実から目を背けることは、もう許されないでしょう」

事件後、ハナは安楽死させられた。一方、Aさんは今も精神科病院で治療を続けているが、「ハナが私を食べたのは正しかった…私が悪いんだ」と繰り返すばかりだという。

心の傷を癒すはずの存在が、新たな傷を生む──。心療介助犬をめぐる闇は、私たちに「癒し」の本当の代償を問いかけている。