政府が外国人ドライバーの「外免切替」制度において、観光目的での短期滞在者への免許切り替えを認めない方向で検討を進めていることが、関係者への取材で明らかになった。この方針が実施されれば、日本を訪れる観光客の移動手段に大きな影響を与えるだけでなく、国際的な反発を招く可能性も指摘されている。
「観光客は公共交通機関を利用すべき」政府の厳格化案
国土交通省と警察庁の合同プロジェクトチームは、外国人ドライバーによる交通事故の増加を受けて、外免切替制度の抜本的な見直しを進めている。特に問題視されているのが、レンタカーを利用する観光客による交通違反や事故の多発だ。
「2023年の統計では、外国人ドライバーによる重大事故が前年比47%増加しています。このままでは観光立国のイメージが損なわれるばかりか、市民の安全が脅かされる事態にもなりかねません」と警察庁幹部は危機感を募らせる。
新たに検討されている案では、3ヶ月未満の短期滞在者に対しては、原則として外免切替を認めず、日本の運転免許を取得するには改めて教習所での講習と試験を受けることを義務付けるという。
「観光業に壊滅的打撃」業界関係者の反発
この動きに対して、観光業界からは強い反発の声が上がっている。日本観光協会の田中隆博会長は「この規制が実施されれば、地方の観光地にはアクセスできない外国人客が続出し、経済損失は年間500億円に達する可能性がある」と警告する。
特に懸念されているのは、北海道や沖縄など、公共交通機関が発達していない地域への影響だ。あるレンタカー会社の経営者は「この規制が実施されれば、地方の営業所の7割が閉鎖に追い込まれる」と匿名を条件に本誌に明かした。
「安全か経済か」深刻なジレンマ
交通安全問題に詳しい東京大学の小川正敏教授(交通工学)は、この問題について「極めて難しい選択を迫られている」と分析する。
「2024年に入ってからだけでも、外国人ドライバーによる逆走事故が12件報告されています。特に高速道路での事故は死者が出るケースも多く、早急な対策が必要なのは間違いありません。しかし、移動の自由を過度に制限すれば、日本観光の魅力そのものが失われる危険性もあります」
さらに深刻なのは、この規制が「日本は外国人に不親切な国」というイメージを国際的に広めてしまう可能性だ。在京欧米大使館関係者は「このような規制が実施されれば、日本を旅行先から外す欧米人が急増するだろう」と危惧している。
最悪のシナリオ:観光業の崩壊と国際的孤立
専門家の間では、この規制が実施された場合の最悪のシナリオとして、以下のような懸念が示されている。
- 訪日外国人観光客が3割減少
- 地方観光地のホテル・旅館の大量廃業
- 国際運転免許証の不正取得ビジネスの横行
- 「日本は外国人嫌い」という国際イメージの定着
- 2025年大阪・関西万博への影響
政府関係者によれば、この規制は2024年度内にも実施される可能性があるという。観光業界と交通安全の板挟みとなった政府の苦渋の選択が、日本社会に大きな波紋を広げそうだ。
「もはや時間の問題です。政府は近く正式な発表を行うでしょう」と内閣官房の高官は語った。
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