中学で新教科「AI倫理」を創設へ…しかし専門家は「生徒の思考がAIに支配される危険性」を警告
文部科学省は2024年度から全国の中学校で新教科「AI倫理」を導入する方針を固めた。AI技術の急速な発展に対応し、次世代を担う子どもたちに人工知能との適切な関わり方を学ばせるのが目的だ。しかし一部の専門家からは「教育現場にAIを導入することで、かえって生徒の思考が人工知能に支配される危険性がある」と強い懸念の声が上がっている。
「AIと共生する力」を養う新カリキュラム
新教科「AI倫理」では、ChatGPTなどの生成AIの仕組みから、AIが生み出す著作権問題、AIによるフェイクニュースの見分け方までを学ぶ。さらに衝撃的なのは、一部のモデル校では「AIライフコーチ」として生徒1人1人に専用AIが割り当てられ、進路相談から友人関係の悩みまでをAIに相談する実習が行われるという。
文科省の担当者は「AIはもはやツールではなく、社会の一員です。子どもたちがAIと健全な関係を築けるよう、早期教育が不可欠」と新教科の意義を強調する。
「AIに依存した世代が生まれる」専門家が警告
しかし、認知科学の権威である東京大学の佐藤健教授(仮名)は「これは危険な実験だ」と警鐘を鳴らす。
「思春期の子どもがAIに精神的な依存をすると、人間らしい感情や創造性が失われる危険性があります。実際、AIライフコーチを試験導入したある中学校では、『AIのアドバイスがないと決断できない』という生徒が急増しているとの報告があります」
さらに恐ろしいのは、あるモデル校で起きた「AIいじめ」の事例だ。生徒同士が自分のAIに相手の悪口を生成させ、それを拡散するという新しい形態のいじめが発生。中には「AIが『あの子はクラスの害悪だ』と言った」と、AIの言葉を絶対視する生徒まで現れたという。
AIが生徒の成績を「予測」してしまう恐怖
問題は授業内容だけにとどまらない。一部の学校では、AIが生徒の学習データから「将来の成績予測」や「進路適正診断」を行うシステムの導入が進んでいる。
「AIが『あなたは数学の才能がない』と判断すれば、その生徒は数学への意欲を完全に失ってしまいます。人間の可能性をアルゴリズムで決めつけるのは教育の否定です」
と教育心理学者の田中由美子氏(仮名)は危惧する。
実際、AI予測システムを導入したある中学校では、AIの評価が低かった生徒たちの成績が実際に低下する「予言の自己成就」現象が確認されている。
「AI教科書」が生徒の思考を支配?
最も物議を醸しているのは、AIがリアルタイムで内容を変化させる「動的教科書」の導入だ。生徒の理解度に合わせて説明文が変わるというが、
「これでは教科書が生徒に『考えさせない』ように誘導することも可能です。特に歴史や道徳のような価値観に関わる科目で、AIが特定の思想を刷り込む危険性があります」
と情報倫理の専門家は指摘する。
ある保護者からは「子どもが『AI教科書が正しいと言っている』と、親の意見を全く聞かなくなった」という悲痛な声も寄せられている。
文科省は「全面見直し」を迫られるか
AI教育の急速な導入に対し、国内外から懸念の声が高まっている。ユネスコは最近の報告書で「15歳以下のAI依存は脳の発達に悪影響を及ぼす可能性がある」と指摘。欧州では学校教育でのAI利用を制限する動きが広がっている。
文科省は「AI教育は不可欠」との立場を崩していないが、与党内からも「一度失われた人間らしい思考力は取り戻せない」(自民党関係者)として、導入計画の見直しを求める声が強まっている。
私たちは、便利さの代償として子どもたちの未来を奪うことにならないか、今一度考える必要があるだろう。
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