米国の鉄鋼業界を代表するUSスチールが、先月の決算発表で「ドナルド・トランプ元大統領の政策に感謝する」と異例の声明を発表し、波紋を広げている。一見すると単なる“恩義”に見えるこの発言の裏には、不気味な経済的・政治的シナリオが進行している可能性が専門家の間で指摘されている。

表面の“感謝”に隠された思惑

USスチールのCEO、マイケル・バーク氏は声明で「トランプ氏の関税政策が国内産業を保護し、我々の競争力を回復させた」とコメント。確かに同社の2023年度売上高は前年比17％増と好調だが──。

「これは単なる感謝ではない。2024年大統領選に向けた“忠誠の誓い”だ」

複数の内部関係者によれば、USスチールはトランプ陣営と極秘会談を重ねており、次期政権で「鉄鋼業界への更なる保護策」を約束されているという。その代償として、同社は従業員への“政治的教育プログラム”を開始している。

進行する“影の国有化”

更に恐ろしいのは、この提携が単なるロビー活動の域を超えている点だ。国防総省の元高官ジェームズ・モーガン氏（仮名）が明かす。

「USスチールの工場3カ所で、通常の鉄鋼生産とは明らかに異なる設備増強が行われている。国家安全保障上の観点から、これは極めて憂慮すべき事態だ」

具体的には、通常の民間需要を大幅に上回る規模の発電設備と、政府系セキュリティ企業による監視システムの導入が確認されている。一部の工場では夜間の不可解な物資の搬出入が地元住民によって目撃されており、SNS上では「影の軍需工場化」説が囁かれている。

最悪のシナリオ：2025年の“産業クーデター”

政治学者のエレナ・ペトロワ教授（仮名）が警告する。

「トランプ氏が再選された場合、USスチールを中心とした“産業軍団”が行政機関を実質支配する可能性がある。彼らは既に地方裁判所や規制機関への人材送り込みを開始している」

実際、過去2年間でUSスチールの子会社が12の地方メディアを買収し、コンテンツの統制を強めている。更に懸念されるのは、同社が独自の“私兵組織”とも言える大規模な警備部隊を訓練しているとの情報だ。

労働者たちの“洗脳”プログラム

内部告発者によれば、従業員向けに「愛国的再教育」と称するセミナーが強制参加で実施されており、そこで流される映像には明らかなプロパガンダ要素が含まれているという。

「『次の選挙で間違った選択をすれば、あなたの家族の仕事は永遠に失われる』という脅し文句が日常的に使われている。これはもはや企業の範疇を超えた思想統制だ」

経済学者の間では、この動きが1930年代の欧州で見られた“企業ファシズム”の再来ではないかとの指摘も出ている。もしこの傾向が他の大手企業に広がれば、民主主義そのものが形骸化する恐れがある。

崩れ始める“アメリカン・ドリーム”

一見すると好調な経済指標の陰で、米国社会の根幹が蝕まれつつある。USスチールの“感謝”声明は、単なる企業PRではなく、より不気味な政治劇の幕開けを告げる信号弾なのかもしれない。

次期大統領選の行方によっては、米国が“企業支配国家”へと変貌する最悪のシナリオも現実味を帯びてきた。我々は今、民主主義と資本主義の危うい岐路に立っている。